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2014年8月29日(金)

広島土砂災害 15年前の教訓は

安全な国土へ規制が必要

「開発至上主義」 共産党が批判

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 20日未明に発生した広島市北部の大規模土砂災害は、死者70人以上を出す甚大な被害をもたらし、約1500人が避難生活を余儀なくされています。同市では1999年6月29日にも、同時多発的な土砂災害が発生し、31人の命が奪われ、多くの家屋が損壊しました。15年前の教訓は何だったのでしょうか。

 99年の災害を教訓に翌2000年、土砂災害防止法が施行されました。この法律は土砂災害のおそれのある区域に対して危険の周知、警戒避難体制の整備、住宅の新規立地の抑制、危険な区域にある住宅の移転促進などのソフト対策を内容としたものでした。

 当時の中山正暉建設相は「開発の進展に伴い危険な場所に新たな住宅が立地し、危険箇所が増加。(それを)抑制するソフト面の対策」と立法の趣旨を説明しています。(2000年4月26日衆院建設委員会)

指定は68%のみ

 しかし、国土交通省によると、全国に52万5307カ所ある土砂災害危険箇所のうち、「警戒区域」に指定されているのは約35万5000カ所で、指定率は68%にとどまっています。法律による危険箇所の抑制という目的からほど遠い状況です。とりわけ今回災害が起こった広島県の場合、花こう岩による風化土壌地域が多く、危険箇所は3万2000カ所に及んでいます。

 日本共産党は早くから危険箇所への宅地開発規制を要求してきました。

 土砂災害防止法制定時の国会では「今もなお、土石流発生の危険性の高い地域に人家や建物が次々と建設されている。今必要なことは、このような開発至上主義をやめることではないか」との日本共産党の辻第一衆院議員(当時)の指摘に対し、建設相は「大都市周辺を中心に土砂災害のおそれのある地域に新規の住宅開発が数多く見られたことは、お説のとおり」と答えています。(2000年4月26日衆院建設委)

災害地域に住宅

 今回の土砂災害地域にも新規の住宅建設が多くみられ、それが災害の被害を増幅させたことは容易に推察することができます。

 いま政府は、「国土強靱(きょうじん)化」という掛け声のもと、「高速道路や新幹線のネットワークの着実な整備を図る」(国土強靱化基本計画)としています。「国土強靱化」というなら、いまこそ抜本的な対策が必要です。

 古屋圭司防災担当相は、被害の実態を受けて、土砂災害防止法の改正を示唆しましたがいまこそ開発至上主義を改め、安全な国土・地域づくりのための開発規制が必要です。

 (日本共産党国民運動委員会・高瀬康正)


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