2014年8月29日(金)
日航の不当労働行為認定
東京地裁 労組スト権に介入
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日本航空によるパイロットと客室乗務員の解雇強行の過程で、管財人・企業再生支援機構(当時)の幹部らが、労働組合の活動を妨害する不当労働行為をおこなったことが、28日、東京地裁(古久保正人裁判長)の判決で認定されました。
解雇撤回を求める裁判では6月、東京高裁で解雇容認の不当判決が出されています。その判決の前提は、会社更生法に基づく管財人が不当労働行為などはせず、合理的判断をするものだとしており、今回の不当労働行為認定によって解雇を容認した根拠が根本から崩れました。
不当労働行為事件は、日航とその支援機構が、解雇回避を求める組合提案を無視して、2010年末の解雇強行へ突き進むなかで起こりました。
10年11月、日航乗員組合と日航キャビンクルーユニオン(CCU)が誠実な労使交渉を求めストライキ権確立の組合員投票を行っていたことに対し、機構幹部が口からでまかせで「スト権を確立したら、3500億円は(日航に)出資しない」とどう喝したものです。
東京都労働委員会は11年8月、不当労働行為を認定し、会社が不服として提訴していました。
会社側は、組合に「情報提供」しただけであって、不当労働行為ではないと主張。古久保裁判長は、「提供された情報は正確ではなく、また、情報伝達の時期や方法も労働組合の利益に反しないものとはいえない」として、会社の訴えを棄却しました。
判決後の記者会見で、乗員組合の田二見(たじみ)真一委員長は「この不当労働行為で、経験や技術を継承してきたパイロットの信頼関係が壊された。一方的な解雇で、パイロット不足になっている」と発言。CCUの古川麻子委員長は「会社の労働組合敵視を根本から変えたい。自由に意見がいえなければ、空の安全は守れない」と強調し、両氏とも「解雇された労働者の職場復帰につなげたい」と語りました。