2014年8月27日(水)
自殺、原発事故が関係
福島地裁 東電に賠償命令
責任認めた初司法判断
東京電力福島第1原発事故後の避難中にうつ状態になり焼身自殺したのは原発事故が原因だとして、亡くなった渡辺はま子さん=当時(58)=の夫・渡辺幹夫さん(64)と子ども3人が東京電力に約9116万円の損害賠償を求めた裁判の判決が26日、福島地裁でありました。潮見直之裁判長は、「避難生活と自殺には相当因果関係がある」と遺族の主張を認め約4900万円の賠償を東電に命じました。
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原発事故と自殺についての因果関係、精神的被害について認め、東電の賠償責任を認めた初の司法判断。今後、同種の裁判に大きな影響を与えるとみられます。
訴状によると、はま子さんは、2011年6月30日、夫とともに草刈りのために旧計画的避難区域内の自宅に一時帰宅しましたが、7月1日未明、自宅内のごみ焼き場で焼身自殺しました。
潮見裁判長は「古里での生活ができず、帰還の見通しが持てないなど、強いストレスを感じる出来事に短期間で次々と遭遇した」と指摘。福島県川俣町山木屋地区の自宅から福島市内のアパートに避難した2011年6月以降について「うつ病を発症していた蓋然(がいぜん)性が高いとみて矛盾のない精神状態に至っていた」と、避難生活と自殺との因果関係を明確に認めました。
東電に対しては、原発事故から自殺者が出ることを「予見が可能だった」と厳しく指摘しました。
原告弁護団は、「きわめて大きな意義を持つ判決。東電は社会的責任を果たすべき」だと求めています。