2014年8月26日(火)
主張
消費税連続増税
国民の不安に向き合うべきだ
消費税の税率を今年4月に5%から8%に引き上げたのに続き、来年10月には10%に引き上げようという動きが迫っています。内閣府が4月の増税後おこなった「国民生活に関する世論調査」で現在の生活に「満足」という人が6年ぶりに減り、「不満」が増加したように、消費税増税が国民の暮らしを脅かしているのは明らかです。マスメディアの調査でも、来年10月からの再増税に「反対」という答えが6割、7割を占めます。安倍晋三政権は7〜9月期の経済指標を見ながら増税の実施を判断するといいますが、なにより国民の不安に向き合うべきです。
「悪化」「不満」が増えた
「国民生活に関する世論調査」は国民の生活に対する心理を調査し施策の参考にすることを目的に、政府が1954年に始め、58年以降はほぼ毎年実施している世論調査です。生活についての満足度や今後の生活の見通しを調査しています。今年の調査は調査期間が6月19日から7月6日で、4月1日から実施された消費税増税の直後だけに、その影響がどう表れるかが注目されました。
調査結果によると、昨年と比べて生活はどうかという質問に「向上している」が6・0%、「同じようなもの」が72・9%、「低下している」が20・9%です。昨年の調査にくらべると「同じようなもの」が約5ポイント減り、「低下している」が約4ポイント増えています。
生活に対する「満足度」も、「満足」と「まあ満足」をあわせ「満足」が70・3%を占めますが、2008年の調査以来6年ぶりの低下です。逆に「不満」と「やや不満」をあわせた「不満」が29・0%に増えました。所得・収入での「満足」は44・7%で「不満」は54・1%、資産・貯蓄での「満足」は37・3%で「不満」は60・2%などとなっており、いずれも「満足」の割合が低下し、「不満」が増えています。国民の暮らしの悪化と不安の増大は明らかです。
政府の統計でも長期にわたって収入の伸び悩みが続いているうえに、消費税の増税は収入の少ない人ほど負担が重く、増税は国民の購買力を奪い、消費を落ち込ませています。安倍政権になってからの金融緩和や円安などの影響で消費者物価の上昇も続いており、実質所得は大幅目減りです。調査で生活の向上感や満足感が後退しているのも、こうした国民を苦しめる政策の反映です。
「国民生活に関する世論調査」では、今後の生活の見通しが「悪くなっていく」という人も26・8%と、前回より増えています。「よくなっていく」はわずか8・9%です。安倍政権が調査を今後の施策に役立てるというなら、こうした国民の不安を解消する対策こそ強めるべきなのは明白です。
来年10月の増税は中止を
国民の生活不安を解消するために、重要なのは、来年10月からの消費税増税を中止することです。マスメディアの世論調査でも増税「反対」は「日経」の調査(25日付)で63%、「読売」(4日付)でも66%と圧倒的です。
今年4月からの消費税増税で増えたのは軍拡や大型開発の予算だったことを見ても、増税で社会保障を充実するとか、財政を立て直すという口実は破たんしています。増税の中止こそ、国民の暮らし立て直しに最優先の課題です。