2014年8月24日(日)
水俣病 山間地では
魚の行商先たどり調査
鹿児島
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水俣病被害の実態を掘り起こそうと「ミナマタ現地調査」が23日から始まりました。水俣病不知火(しらぬい)患者会や支援者らでつくる同実行委員会の主催で、24日まで開かれます。初日は、水俣病特措法で、救済策の対象地域外とされる一方、手足のしびれなどを訴える人が多く住む鹿児島県伊佐市で調査が行われ、全国から約200人が参加しました。
伊佐市は、熊本県水俣市に隣接する山間部に位置し、水俣と伊佐を結んでいたJR山野線(1988年廃線)で、行商が不知火海の汚染された魚を毎日運んでいたとされています。不知火海から東に約20キロ離れた伊佐市布計(ふけ)地区では、2012年の民間医師団による検診で、住民の9割が「水俣病」と診断されました。水俣市に居住歴のない同地区の70代の夫婦が特措法により救済されており、行商ルートでの被害者救済を訴えるため伊佐市での現地調査となりました。
この日、特措法で「非該当」となった布計で商店を営む女性(84)が報告し、30代から原因不明のしびれや痛みで入退院を繰り返したと告白。商店で魚を売っていたことで自らの責任を感じているとのべ「全ての被害者を救済してほしい」と声を詰まらせました。
患者掘り起こしにあたる藤野糺(ただし)医師が、同地区をはじめとする山間部の被害実態を報告しました。
参加者は、旧山野線の「薩摩布計駅」跡を訪れ、「魚介類を行商がたくさんかついできた。魚もさばいていた」との元国鉄職員の説明に熱心に耳を傾けていました。