2014年8月21日(木)
GDP落ち込み 地方紙社説は
大企業重視・家計軽視のツケ
内閣府が13日発表した4〜6月期の国内総生産(GDP)の大幅な落ち込みを、多くの地方紙の社説は極めて深刻に受け止めています。「想定内」との政府の楽観論を批判するにとどまらず、大企業重視・家計軽視の経済政策を転換し、消費税の再増税を思いとどまるよう求める論調も目立ちます。大企業の業績回復の一方、地方経済の低迷が続いていることの反映です。
河北新報14日付社説は「政府が強調してきた『想定内』には収まっておらず、景気の落ち込み幅は予想を上回る大きさ」と指摘。北海道新聞14日付社説は「4月の消費税増税に伴う駆け込み需要の反動減だけでは到底説明できない景気の失速」と断じました。中国新聞14日付社説も「ここは景気回復の曲がり角にあるという厳しい認識に立ち、より慎重な分析が必要ではないか」としました。
賃金低下を指摘
落ち込みの最大の原因が個人消費の低迷にあり、消費税増税や物価上昇のもとで実質賃金が低下している現実を指摘する点も共通しています。
琉球新報15日付社説は「最大の問題は4〜6月の個人消費が前期比5・0%、年率換算で19%ほどの大幅減になっている点だ」と指摘。京都新聞16日付社説は「個人消費の不振は、消費増税に加えて円安によって輸入価格が上昇し、ガソリンや食品、日用品が値上がりしたためだ」「家計収入は多少伸びてはいるが物価上昇に追い付かず、給料は目減りしている」としました。
増税を強く警戒
大企業重視・家計軽視の政策への批判や再度の消費税増税への強い警戒もみられます。
信濃毎日新聞14日付社説は「アベノミクスと呼ばれる景気刺激策の恩恵が働く人にまで届いていないことをあらためて浮き彫りにしている」と指摘。河北新報社説は「個人消費力の低下は、安倍政権による企業重視・家計軽視の経済運営に伴う『付け』と言えなくもない。家計に対する目配りをあらためて求めたい」としました。京都新聞社説は「景気の失速は、金融緩和や財政出動によって企業業績の回復にばかり目を配ったツケといえる」と述べ、熊本日日新聞16日付社説も「これは経済運営の偏りの表れではないか。家計を軽視した政策の付けともいえる」と批判しました。
また、琉球新報社説は「その原因を突き詰めると、大企業優遇、生活者軽視路線に行き当たる。この路線の危険性はもはや明らかで、正反対に切り替えるべきであり、少なくとも再増税は危険だと知るべきだ」と断じました。ちなみに、同社説は「消費税は低所得層には負担が重く、貯蓄が多い富裕層には有利な制度だ。累進課税の緩和で富裕層は所得税の負担も軽くなった。法人税も軽減一方だ。過去25年、日本はそうした逆進性が進み、格差が拡大した」とも指摘しました。
北國新聞14日付社説も「地域経済の実情をみると、消費税率が法で定められた通りに来年10月から10%に上がるときの影響が懸念される」と危惧しています。