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2014年8月18日(月)

日中韓の中高生 ともに学び語り合う

東アジア青少年歴史体験キャンプ

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日本「微妙な時だから交流が大事」

中国「平和築く今日が私の第一歩」

韓国「歴史的事実認められる場を」

 日本・中国・韓国の中高生約100人が毎年夏、戦跡を巡るフィールドワークや討論を通じて、ともに学び、語り合っています。「東アジア青少年歴史体験キャンプ」です。13回目の今年は韓国・忠清南道(チュンチョンナムド)で5〜10日まで開かれました。同行取材しました。(仁田桃)


地図:韓国・忠清南道

 今年は日本と中国が韓国の支配権をめぐって争った日清戦争(1894年)から120年。キャンプのテーマは「東アジア、1894葛藤を乗り越え、2014平和を唱える」です。生徒たちは、日清戦争のきっかけにされた朝鮮の農民の蜂起・東学農民運動(甲午農民戦争)や日清戦争関連の戦跡を歩きました。

 日本軍によって数千人の農民軍が殺された牛禁峙(ウグムチ)峠と、東学革命軍を追悼する塔も見学。このたたかいで農民軍は壊滅的な打撃を受け、解散しました。

 八つの班に分かれた討論では、各国の教科書の記述を比べました。

 高校3年の昂志(たかゆき)さんは日中韓の教科書を比べて、自分の勉強してきた歴史との違いを知り“葛藤”を感じました。

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(写真)第13回東アジア青少年歴史体験キャンプの参加者(下の4枚も)=6日、韓国忠清南道

 日本の教科書には、日本軍が清軍の軍艦を攻撃したという記述がありませんでした。「日本は率先して攻撃する民族ではないと思っていたからショックだった。でも、新しい事実を自分で考えることがすごく楽しかった。自分の目で見ることが大事」と晴れやかな表情。「東アジアの平和をつくるには、歴史を同じ目線で見て腹を割って話せるかだと思う」

 各班では「共同教科書」づくりに取り組みました。「日中間の戦争なのに、なぜ朝鮮が戦場になったのかが分かった」(日本の高校生)、「日本の教科書には朝鮮王宮を占領したことが詳しく書かれていなくて残念」(韓国の高校生)などと意見を言い合い、悪戦苦闘。午後11時30分すぎに完成した班も。日本語や中国語を学ぶ韓国の大学生が通訳として活躍しました。

 一日の終わりの自由時間は、おしゃべりに花が咲きます。身振り手振りや片言の英語で打ち解け、言葉を教え合い、笑い声が絶えませんでした。

 高校3年の佳那さんは「部屋ではおすすめの化粧品の話で盛り上がった」と笑います。

 中国語か英語の教師になるのが夢という佳那さんは、言語だけでなく文化も教えたいといいます。「日韓・日中関係が政治では微妙なときだからこそ、民間の交流が大事だと思います。私たちが偏見をなくせば、政治家も影響されて変わっていくと思います」

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 初めて参加した韓国の高校2年男子のリ・ジホさんは、キャンプで考えが「百八十度変わった」といいます。大学で歴史を学ぶのが目標です。「これまで韓国の歴史観しか知らなかったけれど、将来は韓日中の中立的な立場の論文が書けるように研究したい。お互いが歴史的事実を認められるような開かれた場が必要ですね」と語ります。

 中国の高校2年女子の王欣韵さんは、「東アジアの平和をつくるためには、正しい歴史を学ぶことが最初の一歩。今日が私の第一歩です。自分の周りに広めて良い方向にしたい」と笑顔で話しました。

 別れの日。空港へ一番に出発する日本の生徒のために大勢の人が見送りました。「メール送るからね!」「また会おうね」としっかり握手を交わします。

 「楽しかった」と声を弾ませた高校3年のひとみさんは、勇気が出ず、数年間は参加を見送っていました。「言葉が通じないと何も通じないような気がしていたけど全然違った。友だちがたくさんできました」


 東アジア青少年歴史体験キャンプ 日本、中国、韓国の持ち回りで開催しています。来年は中国・上海の予定です。主催は同実行委員会。

 インターネットのフェイスブックで、写真や生徒の感想などを見ることができます。


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