2014年8月17日(日)
子どものために憲法守り生かす
教育のつどい開幕
高松
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「みんなで21世紀の未来をひらく教育のつどい―教育研究全国集会2014」(教育のつどい2014)が16日、香川県高松市で始まりました。開会全体集会の壇上に「教え子を再び戦場に送るな」の文字が掲げられます。憲法を守り、生かし、一人ひとりの子どものための教育を実現しようと教職員や父母、研究者、市民ら1350人が参加。全日本教職員組合など24団体による実行委員会が主催し、18日までフォーラムや分科会で討論、交流します。
集団的自衛権行使容認の「閣議決定」をはじめとする安倍政権の「暴走」は、「戦争する国」、「世界で一番企業が活動しやすい国」づくりの人材育成を狙う「教育再生」と一体ですすめられようとしています。
実行委員会の茂木俊彦代表委員(民主教育研究所代表運営委員)はあいさつで、日本軍「慰安婦」の事実をねじ曲げ、教育勅語を肯定して道徳の教科化をすすめる安倍「教育再生」の動きを批判。人権の主体者として育てる教育実践を交流し、全国いっせい学力テストなど競争教育の激化が何をもたらすかを学び合い、教職員の過酷な勤務実態の共有が大切だと強調し、参加と共同の学校づくりを呼びかけました。
現地企画「ようこそ香川へ!」で、勤務評定や学力テストに反対する教育運動の歴史を紹介。高松空襲の手記を朗読し「世界に誇ることができる宣言、それが憲法9条である」としめくくり拍手に包まれました。
絵本作家の松本春野さんと、九条の会事務局長の小森陽一さん(東京大学大学院教授)が「いま、憲法を守り、生かす」と題して対談。平和、福島、子どもたちに思いをよせて語り合いました。
地元、香川県の小学校教師1年目の女性(23)は、「憲法9条がどうなるのか一番気になっている。かわいい子どもたちと1学期を過ごし、ますますやる気が出てきた。先輩たちの実践をしっかり学び、2学期に備えたい」と話しました。
「教え子を再び戦場に送るな」
教師ら 思い新た
「平和の大切さ伝える」 教育のつどい
16日から高松市内を会場に始まった「教育のつどい2014」は、「子どもたちに豊かな成長を保障する教育を」と全国から教師・保護者・市民らが集まりました。若い教師の参加も目立ち、「戦争をする国」の「人材づくり」を狙う安倍内閣の「教育再生」に抗し、平和を守り、その大切さを子どもたちに伝えようとの思いにあふれました。
「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンは、1950年の出発以来、「教育のつどい」(教育研究全国集会)が掲げ続けてきたものです。今年はそれを特別の思いで見る人が少なくありません。
いま原点大事
「その原点がいま、本当にだいじになっていますね」と語るのは、開催地・香川県の特別支援学校の女性教師(49)です。「背筋が寒くなるような動きを安倍首相が続けるなか、それをくい止めるために何ができるか、しっかり交流したい。全国でがんばっている人がこんなにいると元気をもらい、私たち香川の自信にもなればいいと思います」
愛知県の特別支援学校の教師(36)は毎年「つどい」に参加して、「子どもの見方や学校のあり方、教育のあり方を確認」してきました。「教師の中にも憲法9条を変えたらいいという人がいます。でも、自分の子どもや家族が殺し合いをするような戦争はやっちゃいけないと多くの人が思う。こういう活動をすることで、少しでも反対の動きを広げていけたら」といいます。
香川県の50代の女性中学校教師は、自分の学校でも職場体験に「自衛隊」の項目が入ってきたといいます。「『教え子を再び戦場に送るな』という言葉が古いものではなく、その大切さをひしひしと感じるようになりました。『平和・命を大切に』ということを伝える教育をしていきたい」と語りました。
楽しい学校に
教師になって3年目の関西の男性教師(27)は、「集団的自衛権行使容認の閣議決定で、教育にも押し付けや締め付けが強まりそうですが、それは子どもたちのためにならないと感じています。子どもたちが毎日、楽しく通える学校にしたい」。
絵本作家、松本春野さんと九条の会事務局長、小森陽一さんの対談では、笑いがあふれる中でも、軍国主義を教え込んだ戦前の教育の怖さや侵略戦争美化教科書の問題などが語られました。松本さんが集団的自衛権行使容認に反対してデモに参加した子どもたちの映像を紹介すると、参加者はくい入るように見つめ、拍手を送りました。
役割は大きい
愛知県の高校教師(29)は、「憲法、平和への危機感を持っています。子どもに対して直接の責任を持っている教師の役割は大きい。侵略戦争を美化させてはいけない。事実を事実として教えたい」。
滋賀県の高校教師(50)も「対談を聴いて、憲法や平和の大切さをしっかり子どもたちに伝えたいし、行動にうつしていきたいと思いました」と語っていました。