「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2014年8月14日(木)

陸自学校いじめ提訴

高等工科学校元生徒「実態知らせたい」

名古屋地裁

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

写真

(写真)記者会見する勝田弁護士(左)と元男子生徒とその家族=13日、名古屋地裁

 神奈川県横須賀市の陸上自衛隊高等工科学校に在籍中、職員や同級生からいじめを受けたとして、愛知県内の元男子生徒(18)が国と同級生2人に損害賠償を求める訴訟を13日、名古屋地裁岡崎支部に起こしました。

 訴状によると、元男子生徒は全寮制である同校内で度重なる暴行や体罰、不在時に荷物を荒らされるなどの執拗(しつよう)ないじめを受け、不安障害や心的外傷後ストレス障害(PTSD)を患い、今年4月に退学を余儀なくされました。精神的被害とともに幹部自衛官への道も閉ざされたとして、被告らに約700万円の賠償を求めています。

 いじめは昨年6月ごろに始まり、相談を受けた両親からの改善の申し入れも学校側は聞き入れず、昨年11月ごろに体調が悪化。ストレスから摂食障害も発症し、入学前に74キロあった体重は60キロまでに激減していました。

 原告代理人の勝田浩司弁護士は、職員の幹部自衛官が暴力や体罰を「愛情だ」などとして正当化していることや、職員が生徒の給与を勝手に使い私物を買うなどの行為が日常的に行われていることに、「組織として旧陸軍時代と変わらない体質があり、いじめに対する意識の低さ、健康への無配慮は目に余る」と述べました。

 元男子生徒は「防衛大学校で研究する夢があったので悔しい。僕の他にもいじめは多くあり、1学年で30人くらいが辞めていく。学校には仲のいい生徒も残っているので裁判を通じて問題を世間に知らせ、運営を改善させたい」と話しています。

解説

暴行を「愛情だ」と容認

 陸上自衛隊高等工科学校は、前身の少年工科学校時代に重大な事件を引きおこしています。1968年7月2日、武装行軍の仕上げで学校内の池を徒歩で渡るよう教官が命令、78人のうち13人の生徒が次々に溺れ死亡したのです。

 戦前は「陸軍幼年学校」、戦後は「少年(高等)工科学校」と校名は変わっても、「『国を守る』という道を若くして選び…、本校へ入校した生徒たちは、まさに『国家の宝』」(陸自高等工科学校のホームページ)という精神構造は同じです。

 少年兵(18歳未満)の敵対行為への参加を禁止する国連議定書承認を受け、2010年度に少年工科学校から高等工科学校に名称変更。15歳から18歳の男子を対象に3年間、工科校(全寮制)に入学と同時に神奈川県立高校(通信制)に在籍し、卒業後は陸上自衛官(陸士長)として採用されます。1年後には3等陸曹に昇任し「陸自の中核として活躍」(同校ホームページ)します。

 提訴後の記者会見で原告の母親は、こう語りました。「防衛大学校の学生が先日、先輩らからの暴行、脅迫などで抑うつ状態になり身の危険を感じ、先輩学生らを傷害容疑で刑事告訴しましたが、私の息子へのいじめと同じだと思った」

 被告らの暴行を「愛情だ」と容認し、精神教育と称して「日本はすばらしい国」と排外主義をあおる教官の言動。幹部自衛官を養成する防衛大学校と陸自高等工科学校という二つの自衛隊教育機関に潜む「旧軍体質」(原告代理人)に、「国を守る」と強弁して「海外で戦争する国づくり」の集団的自衛権行使をめざす安倍政権の暴走が重なります。 (山本眞直)


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって