2014年8月9日(土)
ASEAN外相会議が開幕
南シナ海緊張緩和などテーマに
ミャンマー大統領 「非同盟推進を」
【ネピドー=伊藤寿庸、松本眞志】東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議を含む一連の会議が8日から3日間の日程で、議長国ミャンマーの首都ネピドーで始まりました。南シナ海での緊張緩和など地域の平和、2015年末のASEAN共同体づくりなどが主要なテーマ。10日にはASEAN10カ国と日本、米国、中国、韓国、北朝鮮など計26カ国と欧州連合(EU)が参加する外相級のASEAN地域フォーラム(ARF)が開かれます。
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8日の開会式で、ミャンマーのテイン・セイン大統領は、南シナ海問題を含む最近の世界情勢に深刻な懸念を表明。ASEAN主導の地域枠組みの強化を主張し、「非同盟政策を推進し、紛争や意見の相違は平和的に解決すべきだ」と訴えました。
また、「この地域の新たな地域的政治・安全保障機構の再構築において、東南アジア友好協力条約(TAC)が将来のASEANの活動の基本文書であり続ける必要がある」と指摘。各国の独立・主権の尊重や内政不干渉、武力不行使や紛争の平和解決などの基本原則をうたったTACに基づいて、アジア・太平洋地域で新しい安全保障の枠組みをASEANが中心となってつくっていく意向を示しました。
ASEAN共同体づくりにとって大きな課題である域内格差の問題では、経済水準の底上げにASEANとして取り組んできたミャンマー、カンボジア、ラオス、ベトナムの合計のGDP(国内総生産)が、ASEANのGDPに占める割合で、09年の6%から13年に12%になるなど格差縮小が進んでいると語りました。
ミャンマー外務省のウ・ミント・トゥASEAN局次長は、国営英字紙「ミャンマーの新しい灯」8日付で、南シナ海問題が外相会議に影を落としていることを認める一方で、7日に行われた中国・ASEAN特別高官会議で「進展」があったと指摘。「南シナ海行動宣言(DOC)完全実施の作業と同行動規範(COC)の策定への作業が行われている。時間はかかるだろうが、関係国の信頼を構築し続ける中で問題を平和的に解決する行動規範を持つことになる」と展望を語りました。