2014年8月8日(金)
きょうの潮流
お笑い芸人がNHKの収録番組でカニの新種を見つけたそうです。沖縄・久米島の海中洞窟にすんでいた白い小さなカニ。同行した専門家も新種と認め、貴重な発見に驚いていました▼番組によると、これまで人類が発見した生物は約200万種。いまも毎年1万8000種が新たに見つかっています。この地球の生き物が、いかに多様多種で豊かであるか。一方で現在は毎年4万種の生物が滅び、絶滅の速度もどんどん加速しています▼自然や生き物にふれ、親しむ機会が増える夏休み。ともに息づく仲間たちの命をいとおしみ、大切にする心をはぐくんでほしい。そういえば、子どもの頃に不思議な生き物の面々が織りなすアニメがありました。ムーミンです▼カバに似ていますが、じつは妖精の一種。パパとママや彼女のノンノン、友だちのスニフやミイ…。そして、自由と孤独を愛する旅人スナフキン。個性あふれる彼らと谷で暮らします▼今年はムーミンを生んだフィンランドの芸術家トーベ・ヤンソンさんの生誕100周年。日本でも各地でムーミン展が開かれています。芸術一家で自由奔放に育ったトーベさん。10代から本格的な絵を描き始め、戦争中はヒトラーやスターリンを風刺した作品が雑誌の表紙を飾ったことも▼多岐にわたって創作をつづけたトーベさん。傲慢(ごうまん)や抑圧を嫌い、人々や自然との共生を世に説きました。いまも世界中で愛されるムーミンもまた、かけがえのない地球を壊す人類への警告だったのかもしれません。