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2014年8月7日(木)

防大生 暴行受け告訴へ

上級生ら8人を傷害容疑で

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 幹部自衛官を育成する防衛大学校(神奈川県横須賀市)で、上級生らからの暴力やいやがらせで抑うつ症状になり、病欠に追い込まれたとして2年生の男性(19)が7日にも上級生ら8人を傷害容疑で刑事告訴することが関係者への取材で分かりました。

 防大内での傷害事件が学生の刑事告発で明らかになるのはほとんど例がありません。

 男性は今年5月、帰省した際に、学校に届け出るのを失念、学校から注意されたのをきっかけに寮生活の指導役である上級生(4年生)や同級生らから殴るけるの暴行を受けた、としています。

 家族からの抗議で4年生からは謝罪があったものの、他の学生から1年生が担当する掃除を押し付けられるなどの嫌がらせも繰り返された、といいます。

 男性は抑うつ状態になり校内のカウンセラーに相談したり、学校側の指示で実家のある福岡県の自衛隊病院で受診しました。しかしカウンセラーは「ただ『頑張って耐えろ』と言うだけだった」、病院の診断書も暴行被害にはふれず「進退の悩み」としか書いてもらえなかった、といいます。

 男性は、海上自衛隊の護衛艦「たちかぜ」艦内などで先輩隊員らからの暴行、恐喝などを苦に自殺に追いやられた隊員(20代)の遺族が提訴した裁判で、自衛隊の組織ぐるみによる証拠隠しとたたかい勝利判決を勝ち取った「たちかぜ弁護団」の岡田尚弁護士に相談し、告訴することになりました。

解説

防大にも暴行隠ぺい体質

 自衛隊ではさまざまな部隊、関係機関で上司や同僚隊員らによる暴力行為、恐喝、性的嫌がらせなどの犯罪行為が続出、自殺に追い込まれたり、退職を余儀なくされるケースが後を絶ちません。

 多くのケースでは、上級機関や上司に訴えても今回の事件と同様、自衛隊側は取り合わず、逆に告発などで明らかにすると、被害にあった隊員や職員に嫌がらせや退職を強要するなど、組織ぐるみで隠ぺいに動いています。

 今回、防衛大学内での暴行事件が明るみになったことは、特別な意味があります。なぜなら自衛隊のいじめ事件などの隠ぺいを容認、時には率先して嫌がらせや退職強要に動くのが防衛大学出身の幹部自衛官だからです。隊内の暴力体質は幹部養成の段階からまん延していることを示したといえます。

 隊員の人権を無視したいじめや暴力行為が表面化するのは90年代以降からです。自衛隊が初めてカンボジアへのPKO(国連平和維持活動)、湾岸戦争でのペルシャ湾機雷掃海、2004年からのアフガン戦争、続くイラク戦争での自衛艦、陸上部隊の派遣と重なります。

 さらに安倍政権による海外での武力行使を可能にする集団的自衛権行使容認への暴走が、自衛隊内での統制強化、そのもとでの人権無視に拍車をかけています。

 一方で、いじめや暴力事件にたいし、隊員や家族による自衛隊の責任追及、真相究明を求める賠償請求裁判が各地で起こされ、自衛隊の安全管理義務違反などが問われ、賠償の支払いを命じる判決が相次ぎ、自衛隊の体質が断罪されています。(山本眞直)


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