2014年8月3日(日)
きょうの潮流
「原発は1度事故が起きると被害は甚大で、その影響は極めて長期に及ぶため、安全性の確保のために極めて高度な注意義務を負っている」。福島第1原発事故をめぐって東京電力の元会長ら3人を「起訴相当」とした検察審査会の議決です▼原発を扱う会社幹部の責任を強調しています。東電は、福島第1原発を襲った津波と同じ規模の津波の試算を得ていたのに、対策が間に合わず運転停止になる恐れがあると考え、「関係者に根回しを進め」、被害回避の対応を怠ったからです▼「安全神話」に漬かった東電と規制当局も批判しています。「(試算した津波は)実際には発生しないだろう、原発は大丈夫だろうというような曖昧模(も)糊(こ)とした雰囲気が存在していたのではないか。安全神話の中にいたからと、責任を免れることはできない」と▼関西電力大(おお)飯(い)原発の運転差し止めを命じた、5月の福井地裁判決も「安全神話」を痛烈に批判しました。「地震大国日本において、基準地震動(想定される最大の地震の揺れ)を超える地震が大飯原発に到来しないというのは根拠のない楽観的見通しにしかすぎない」▼九州電力川(せん)内(だい)原発で、安倍首相は「原子力規制委員会の審査で安全だと結論が出れば、再稼働を進めたい」と発言しています。審査さえ通れば「安全」だとは、それこそ、「安全神話」です▼議決は事故前の状況を「何をするにも原発の稼働ありきを前提に動いているように見受けられる」と指摘しています。繰り返させてはいけません。