2014年8月2日(土)
きょうの潮流
月が替わって葉月。今年の夏も、うだるような暑さがつづきそうです。気象庁が発表した8月予報は、全国的にきびしい暑さに見舞われ、熱中症に十分な注意が必要と呼びかけています▼暑さとともに、戦争を、平和を、語り継ぐ夏がめぐってきました。武力を携えた軍隊をふたたび海外へ。きな臭さをまとった政権がうごめく69年目の夏。日本の行く末を案じる人びとの発露はいつになく盛んで、強く、重たい▼本紙が呼びかけた「証言 戦争」。すぐに100をこえる体験談や資料が寄せられ、いまも続々と。前線で死の恐怖や飢えにおびえた日々、肉親を亡くした空襲、あの広島と長崎の原爆。どの体験からも、戦争の恐ろしさ、みにくさが伝わってきます▼安倍政権の暴走とともに、「読者の広場」にも毎日のように投稿が寄せられています。「この子たちに戦争の実態をしっかり伝えることが“あの日々”を通ってきた世代の役割」。狂気を肌で感じた80代や90代の多くが声をあげています▼戦争や人の命が軽く扱われている、いま言わなければ死ぬに死ねない―。そんな怒りや悲しみ、痛みが文章からにじみ出ていると、担当者はいいます。胸にしまい込んできた記憶をはじめてつづった人もいます▼自分が味わった悲惨さを孫には…、わが子を戦場に送らせない、人殺しは絶対にいや。世代をこえて平和への思いがつながり、互いの心に深く染み込んでいく夏。その一つ一つが、ふたたび聞こえてきた軍靴の足音を遠ざけ、消し去ります。