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2014年8月1日(金)

きょうの潮流

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 靖国神社の遊就館にラッパを口にしたまま倒れる兵士の額が展示されています。敵の弾に当たりながら、死んでもラッパを離さなかった、木口小平(きぐちこへい)の絵です。戦前まで美談として小学校の教科書に載りました▼木口兵士が英雄にまつり上げられたのは、日清戦争の最初の陸戦「成歓(せいかん)のたたかい」でした。日本はそれに先立つ「豊島(プンド)沖海戦」にも勝利。その様子を従軍記者らは「文明日進の我帝国の海陸軍向う所敵なし」(『時事新報』)と大々的に報じました▼維新後の富国強兵や急速な帝国主義化のもと、領土拡張と他国支配を目的に本格的な侵略戦争にのめり込んでいった日本。その姿をあらわにしたのが、いまから120年前の夏に始まった日清戦争でした▼この戦争で日本は朝鮮の内政改革と独立を掲げるとともに、国際法を順守すると宣言しました。みずからを文明国の一員として宣伝し、野蛮な清国との「文野の戦争」であると印象付けたかったのです(大谷正著『日清戦争』)▼正義の戦争の偽りはすぐに露呈します。市民や捕虜をふくむ旅順の虐殺事件、朝鮮の東学農民軍にたいする全滅作戦、台湾征服と抗日勢力の一掃。一連の蛮行は日本の正体を国際的に知らしめました▼侵略から破滅へとつながる契機となった日清戦争。今日の歴史学者は「近代日本が起こした最初の大規模な対外戦争であり、ここから軍国主義に向かった」と指摘します。歴史の歯車が逆戻りしようとしているいま、過去の教訓から学ぶものは少なくありません。


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