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2014年7月31日(木)

主張

最低賃金の目安

時給1000円にはほど遠い

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 厚生労働相の諮問機関、中央最低賃金審議会が、小委員会での異例の長時間審議のすえ、最低賃金の「目安」額を全国平均で16円引き上げると決めました。最低賃金は目安額を参考に各都道府県などが決めますが、目安通りなら全国平均の最低賃金は現行の時給764円が780円に、2・1%しか上がりません。4月からの消費税増税分さえ下回り、消費者物価の上昇による実質賃金の目減りも穴埋めできません。政府が約束している全国最低でも800円、平均で1000円の実現は遠い先です。最低賃金の大幅引き上げを求めていくことがいよいよ重要です。

人間らしく暮らせない

 最低賃金は、賃金の最低額を保障するために決められるものです。正規雇用の労働者にくらべても賃金が安い派遣やパート、アルバイトなど非正規雇用の労働者は最低賃金ぎりぎりで働かされている例が多く、労働者の労働条件の改善のためにも、貧困と格差を解消していくためにも、大幅引き上げが切望されています。

 これまでの全国平均の764円の最低賃金では、1日8時間月20日間働いても、月収は12万2240円にしかなりません。最低賃金を目安通り780円に引き上げても、月収は12万4800円です。これでは満足に生活できず、人間らしい暮らしとはほど遠い限りです。最低賃金を大幅に引き上げることが急務です。

 ことし4月から消費税の税率が5%から8%に引き上げられました。わずか2%強の最低賃金の引き上げでは消費税増税分の3%さえ下回ります。安倍晋三政権になって円安が続き、食料品やガソリンなど消費者物価が上昇を続けていることもあって、労働者の実質賃金は下がり続けています。6月の家計調査報告によれば、勤労者世帯の実質実収入は前年同月に比べ6・6%の減少と、9カ月連続で実質減少を続けています。わずかばかりの賃上げで、穴埋めできないのは明らかです。

 最低賃金の目安は、全国の都道府県をA〜Dのランクにわけ、東京などAランクは19円、埼玉などBランクは15円、Cランクは14円、Dランクは13円と引き上げの目安を示し、人口で加重平均して平均額を算出します。今回の目安の引き上げで、これまで生活保護水準より最低賃金が低かった北海道、宮城、東京、兵庫、広島の5都道県では「逆転」が解消する見込みですが、半面、Aランクの東京と、最も低い島根、沖縄などとの格差はさらに広がります。もともと同じAランクでも、東京と千葉の最低賃金には100円以上の開きがあり、深刻な格差となっています。都道府県単位ではなく、全国一律で1000円以上の最低賃金を実現することが求められます。

消費税の再増税許さず

 今後は各都道府県の最低賃金審査会に向け、目安以上の引き上げを求めるたたかいが重要になりますが、同時に、来年10月からの消費税の再増税などを許さないたたかいが不可欠です。消費税が引き上げられれば、わずかばかりの賃上げは吹っ飛んでしまいます。

 最低賃金の引き上げを実現するため中小企業への支援は重要ですが、大企業中心の法人税減税などは論外です。大企業には減税ではなく、もうけと内部留保を賃上げに回すよう求めるべきです。


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