2014年7月28日(月)
衆院選挙制度「第三者機関」
座長に小選挙区制推進人物
「改革」の名で民意削る定数削減
通常国会会期末(6月)に日本共産党以外の各党の賛成で設置が議決された伊吹文明衆院議長の諮問機関「衆議院選挙制度に関する調査会」の初会合が、8月上旬に開かれる予定です。調査会は議員以外の有識者で構成する「第三者機関」と位置付けられ、座長には佐々木毅・元東京大学総長の就任が報じられています。しかし、佐々木氏は政財界と一体になって衆院選挙制度に民意をゆがめる小選挙区制を導入し、「二大政党」づくりを推進してきた人物です。
「政治改革」主導
「第三者機関」は、現行の小選挙区制を維持したうえで議員定数削減などを議論し、議長に答申するとしています。小選挙区制の害悪を国民に押し付けた人物を座長にすえ、さらに「選挙制度改革」の名で民意を削る定数削減など二重に許されません。
佐々木氏は、海部内閣に小選挙区比例代表並立制を答申(1990年4月)した第8次選挙制度審議会に委員として参加しました。その後も、財界人、学識者らでつくる「新しい日本をつくる国民会議」(21世紀臨調)の共同代表として、小選挙区制下での「マニフェスト(政権公約)選挙」の導入などの「政治改革」を主導し、「二大政党」づくりを推進してきました。
2012年には「政治基盤の再整備」を目的に、財界人らと「日本アカデメイア」を発足させ、共同塾頭に就任。首相、閣僚の国会出席の制限など「国会改革」も提言してきています。
設置に道理なし
今回の「第三者機関」は、設置そのものに道理がありません。
衆院選挙制度をめぐってはかねて、1選挙区1人選出の小選挙区制のために生じる「1票の格差」の拡大などが大きな問題となりました。
2011年10月から全政党参加の実務者協議が行われ、昨年6月には「よりよい選挙制度を構築する観点から、現行並立制の功罪を広く評価・検証し、抜本的な見直しについて、各党間の協議を再開し、結論を得る」と全党が合意しました。
ところが、今年に入って一部の党が談合し、「第三者機関」設置を提起。全党協議を打ち切って多数決で衆院議院運営委員会で議決したのです。全党合意に立ち戻って検証作業を行うべきなのに、それを一度も行わないまま「第三者機関」へ丸投げすることは、政党・国会の責任放棄です。
(酒井慎太郎)
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