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2014年7月24日(木)

インドネシア ジョコ次期大統領

「民主主義擁護」託す

若者が自発的に支援

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 【ハノイ=松本眞志】 インドネシア次期大統領に当選が決まったジャカルタ特別州知事のジョコ・ウィドド氏は、「民主主義の擁護」「汚職の一掃」「生活の向上」という有権者の願いを託されました。経済成長の一方で格差も広がる現状を踏まえ、庶民生活重視の経済政策推進を表明。アジア・太平洋地域の紛争の平和的解決と紛争予防を目指す外交も継続する方針です。


 ジョコ氏は22日、首都ジャカルタで勝利演説を行い、「われわれは謙虚さをもって、インドネシア国民が統一国家に帰属することを呼びかける」と国民の結束を訴えました。国をほぼ二分する選挙戦だったことから、勝利が国民全体のものであると強調し、対立候補だったプラボウォ氏についても「最高の友人だった」とたたえ、相手陣営の支持者も含め、新たな国づくりへの協力を呼びかけました。

 投票所を訪れた市民の多くが語ったのは、「民主主義」「汚職」「生活」でした。ジョコ氏は闘争民主党に所属していますが、4月実施の総選挙で同党に投票しなかった若者が、各地で自発的に「ジョコ氏支持」のボランティア団体を結成し、“選挙司令部のない”選挙活動が広範に展開されました。

 支持者はジョコ氏をデザインした手作りのTシャツを着て、友人、知人など、あらゆるつながりで支持を呼びかけました。商工会議所に勤めるティアギタ・シルカさん(29)は、「ジョコは指導者ではなく、私たちの一部だ」と言います。

 演説会や地方視察などの際、トレードマークの赤いチェックのTシャツ姿で現れるジョコ氏に市民は親近感を持ちました。ジョコ氏は2007年にスラカルタ市長、12年にジャカルタ特別州知事に就任し、交通渋滞や貧困層への支援、最低賃金の引き上げなど、庶民層の要求を取り入れてきました。

 一方のプラボウォ氏は選挙中、経済活性化に向けて国民をけん引する「強い指導者」のイメージで一部の支持者を獲得しましたが、勝利には至りませんでした。

 総選挙委員会(選管)は22日の公式結果発表で、ジョコ氏の得票数が7063万3576票で、プラボウォ氏の得票数6226万2844票より約800万票上回ったと公表しました。

 これに対してプラボウォ氏のスポークスマンは23日、選挙結果を不服として憲法裁判所に異議を申し立てると表明しました。

非同盟政策を推進へ 当面は庶民経済優先

 ジョコ氏は大統領就任後、当面は経済問題を優先させるとしています。ユドヨノ政権下で2011年に6・49%の経済成長率を記録しましたが、それ以後は下がり続けています。人口約2億5千万人(世界第4位)、国内総生産(GDP)8683億ドル(同16位)は世界的な大市場。一方で、1人当たりのGDPは3510ドル(同116位)にとどまっており、庶民経済の向上や貧困層対策が急がれます。

 ある商工会議所の幹部は「この国の発展は大型開発ではやっていけない。中小業者を支援して力をつけさせる以外にない」といい、「商工会議所での活動の経験もあるジョコ氏ならできる」と語りました。ジョコ氏は、経済活性化、脱貧困化の促進、教育・保健衛生の改善、公共交通機関のインフラ改善などを公約しています。

 外交では従来の非同盟・紛争予防政策を引き続き推進する意向です。南シナ海で一部の東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国と中国との紛争激化が懸念されるなか、積極的な仲介外交を進めてきたインドネシアの外交政策が注目されています。

 デビィ・フォルトナ・アンワル副大統領補佐官は今後の外交方針について、「外交での軍事冒険主義を否定しており、現在の政策を継続することになる」と語りました。

 ジョコ氏は公約で、「紛争の平和的解決」を主張。「インド・太平洋地域機構の構想発展」を掲げています。この構想は、ASEAN10カ国間の条約である東南アジア友好協力条約(TAC)に明記されている「武力行使放棄」の法的義務を、米国、中国、日本などにも負わせることを意味します。

 腐敗汚職一掃でも期待が寄せられています。選挙期間中、ある有力政党幹部がジョコ氏支持と引き換えに閣僚のイスを求めましたが、これを拒否したといいます。ジョコ氏に対しては宗教や政治信念、民族をあげつらった中傷もありましたが、多宗教の共存と国内250以上の民族の融和を唱えるジョコ氏にとって、逆に追い風となりました。

 (ハノイ=松本眞志)


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