2014年7月24日(木)
米軍オスプレイ「佐賀配備」は沖縄知事選対策
道理も現実性もなし
佐賀県民に衝撃を与えた、県営佐賀空港への垂直離着陸機オスプレイ配備計画。これには、自衛隊機に加え、米海兵隊普天間基地(沖縄県宜野湾市)所属のMV22オスプレイ24機の「暫定配備」も含まれています。安倍政権は11月の沖縄県知事選で、仲井真弘多(なかいま・ひろかず)知事3選に向けた「実績」にしたい考えですが、これには道理も現実性もありません。 (竹下岳)
仲井真知事は昨年末、安倍政権に屈服して普天間基地の「県外移設」を撤回し、沖縄県名護市辺野古への新基地建設を容認。その条件として「普天間基地の5年以内の運用停止」を挙げました。
県民は反対
これを実現するためには、日米両政府が想定している辺野古新基地の完成時期(2022年度以降)より早い、19年度までには普天間に配備されている米軍機の大部分を移転する必要があります。
防衛省の計画によれば、佐賀空港の自衛隊駐機場を18年度までに整備し、19年度から配備を開始します。この時期に米軍オスプレイを「暫定配備」する計画です。
しかし、佐賀県議会は民主党政権下の2010年、普天間基地の佐賀空港移転案への反対決議を可決し、古川康知事も反対を表明しています。
説明と矛盾
防衛省の過去の説明とも矛盾しています。同省が12年に発行したパンフレット『在日米軍・海兵隊の意義及び役割』は、沖縄の「地政学的位置」を挙げて普天間基地の「県外移設」を否定。さらに、航空部隊と地上部隊が一体になっている在沖縄海兵隊について、「海兵隊はチームで行動することによって効果的な戦力を発揮します。各構成部隊を切り離せば、海兵隊の持つ機能を損なってしまうおそれがあります」と述べています。
佐賀空港へのオスプレイ移転は、まさに「各構成部隊を切り離す」もので、政府の理屈に従えば、辺野古の新基地が完成するまでの数年間、米軍の「抑止力」が低下することになります。
佐賀空港への米軍オスプレイ配備の道理のなさに加え、政府が繰り返し口にする沖縄の「地政学的位置」や「抑止力」自体、いいかげんなものであることがはっきりしました。