2014年7月24日(木)
きょうの潮流
二つの週刊誌記事をめぐって、NHKの対応が分かれました。籾井(もみい)会長の「記憶力に問題あり」などと報じた週刊誌に対してNHKは22日、「事実と異なり、会長の名誉を傷つけ、NHKの信用を損なう」として、東京地裁に提訴しました▼もう1件は、「クローズアップ現代」(3日放送)にふれた、写真週刊誌です。番組は菅(すが)官房長官が出演して、集団的自衛権について説明。キャスターから突っ込まれたと安倍官邸側が激怒し、菅氏に籾井会長がわびたといいます▼官房長官もNHKも「事実ではない」と否定。しかし、両者とも週刊誌には「抗議しない」と。抗議すると、番組の制作過程の公開が求められます。政権とNHK会長のかかわりがより露骨になる恐れもあります。こちらは早々に幕引きをねらっているのでしょうか▼確かに番組は、憲法9条に対置させて集団的自衛権の行使容認の問題を菅氏に質問しました。夜の7時や9時のニュースでは、見られなかった視点です▼安倍・籾井路線に甘んじない動きはNHK経営委員会の中にも見えます。「政府が右と言っているのを左とは言えない」と発言した籾井会長。公共放送のトップとしての姿勢を問う論議が、定例の会合で繰り返されています▼視聴者による会長辞職を求める署名は6万人に迫りました。18日には、元NHKのアナウンサーやプロデューサーら172人が「籾井会長の辞任勧告か罷免を求める声明」を発表。内と外で「籾井会長ノー」の声が強まっています。