2014年7月21日(月)
墓穴掘る「靖国」派
全国紙に「河野談話」見直し意見広告
検証に反論材料示さず攻撃
ジャーナリストの桜井よしこ氏が理事長を務める国家基本問題研究所が17〜19日付の全国紙に「『河野談話』の検証はまだ終わっていません」とする意見広告を掲載しました。
「慰安婦」問題への旧日本軍の関与を認めて謝罪した「河野談話」(1993年)の政府の検証結果(6月)について「その内容は、当時の河野洋平官房長官と外務省が行った謝罪外交の失敗を覆い隠すものでしかありませんでした」と攻撃しています。
継承の立場示す
政府の検証は、「河野談話」の見直しを求める日本維新の会(当時)の「靖国」派議員の質問を受けて行われたものです。しかし検証は、見直し派が求めていた元「慰安婦」からの聞き取り調査の「検証」はできず、談話発表前の「日韓両政府の事前のすり合わせ」なるものについても、“最終的な談話は日本側が主体的に決定した”との見方を打ち出すものとなりました。これを受けて政府は、「河野談話」の見直しはせず、継承するという立場をあらためて示しました。これらは、「河野談話」の見直しを画策した「靖国」派への痛打となりました。
意見広告は、政府の検証を求めた勢力が自らの意図とかけ離れた結果となったことに慌てて出したものでしょうが、検証に対して何の反論材料も示せず、「国益と名誉を回復するために、政府と国会は外務省の自己弁護を許すことなく、検証を継続していかなければなりません」と言うだけ。自らの道理のなさを示すものに終わっています。
思惑外れた広告
思い返されるのは、やはり桜井氏が名を連ねる歴史事実委員会が「靖国」派国会議員とともに2007年6月、「慰安婦は“性奴隷”ではなく公娼(こうしょう)である」などと主張した全面広告を米ワシントン・ポスト紙に掲載したことです。
しかし、この広告は、桜井氏らの思惑とは逆に米国内外から厳しい批判を招き、米下院が「慰安婦」問題で日本政府に明確な謝罪を求める決議を異論のないほぼ満場一致で採択する動きを促進するものとなりました。第1次安倍内閣への痛打となってはね返ったのでした。
「靖国」派が「慰安婦」問題での強制性を否定し、「河野談話」を否定しようと策動すればするほど、事実と道理、内外の批判の前に墓穴を掘っていくだけです。
(入沢隆文)