2014年7月20日(日)
佐賀空港へ陸自オスプレイ
防衛省が配備検討 22日に県へ要請
防衛省は19日までに陸上自衛隊への導入を狙う米国製の垂直離着陸機オスプレイを、佐賀空港(佐賀市)へ配備する方向で調整に入りました。自衛隊オスプレイの配備候補地が明らかになるのは初めて。武田良太防衛副大臣が22日に佐賀県庁を訪れ、古川康知事に受け入れを要請します。
佐賀空港は2000メートルの滑走路を有する県管理の民間専用空港。防衛省は自衛隊オスプレイの配備先を、普天間基地(沖縄県宜野湾市)に配備されている米海兵隊のMV22オスプレイの訓練拠点としても活用したい考えです。配備を受け入れれば、格納庫や給油施設といった常駐を可能にする施設の整備も不可避となり、日米一体の軍事拠点と化します。
安倍政権は昨年末に策定した新たな防衛大綱・中期防衛力整備計画で、自衛隊に敵地侵攻能力を持たせるため、2018年度までに陸自に17機のオスプレイを導入するとともに、米海兵隊のような「水陸機動団」を創設する方針を決定。15年度概算要求には初めてオスプレイの購入費を盛り込む方針です。
オスプレイには相次ぐ墜落事故とともに、低周波音被害も指摘され、地元の反発を受けることは避けられません。
解説
九州が「海兵隊化」の拠点に
防衛省が佐賀空港(佐賀市)を、自衛隊に導入する垂直離着陸機オスプレイの配備先として検討していることが分かりました。佐賀空港は、現在自衛隊基地すら置かれていない民間専用空港で、米軍機飛来実績も過去5年間で皆無。重大事故が相次ぐ欠陥機の降って湧いたような配備の浮上に、地元住民との矛盾は避けられません。
候補地に浮上した背景には、空港利用者数低迷による財政難があるとみられます。しかし、安倍政権は普天間基地(沖縄県宜野湾市)に配備されている米軍オスプレイの本土への訓練移転も同時並行で推進しており、いったん配備を受け入れれば、日米一体の軍事拠点として際限ない基地負担を強いられる危険があります。
隣接する県に基地負担が波及することも避けられません。
軍民共用とならざるをえない佐賀空港では、オスプレイの飛行訓練のための訓練場を別に確保することが必要となります。九州には西日本最大の面積を有する日出生台(ひじゅうだい)演習場(大分県)があり、ここでの訓練を念頭に置いているとみられます。
また、自衛隊は尖閣諸島を念頭に置いた「離島奪回作戦」に使うオスプレイや水陸両用車を、強襲揚陸艦で南西諸島方面へ展開するシナリオを想定しています。水陸両用車の配備が狙われる長崎県佐世保市と地理的に近いことも、佐賀空港が有力視される背景にあります。
オスプレイ配備によって、北部九州一円は中国との紛争を口実にした自衛隊の「海兵隊化」(=侵攻能力強化)の一大拠点と化すことになります。(池田晋)
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