2014年7月17日(木)
きょうの潮流
熊本・八代(やつしろ)と鹿児島の川内(せんだい)を結ぶ「肥薩(ひさつ)おれんじ鉄道」。東シナ海を望む風光明媚(めいび)な海岸線や田園風景を楽しめます。ゆったりのんびり、スローライフな旅を売りにした観光列車「おれんじ食堂」も人気です▼現在は九州新幹線も通る薩摩川内市は、古くから南九州の陸海の要衝として栄えました。奈良時代には薩摩国の国府が置かれ、いまも薩摩国分寺跡や国司として在任した大伴家持(おおとものやかもち)の銅像が立っています▼豊かな自然と歴史をもつ地を流れる川内川。その河口に、安倍政権が原発再稼働の突破口にと狙う川内原発があります。原子力規制委は九州電力の再稼働申請を「新基準に適合している」と判断しました▼いまだ福島原発事故による災いが際限なく襲うなか、再稼働を求める全国の原発に先駆けての認定。しかし規制委の基準を満たしたからといって、安全が保証されたわけではありません。重大事故が起きたときの対策は不十分で、避難計画も自治体任せです▼とくに専門家が懸念する火山については「影響を及ぼす可能性は十分小さい」と無視。周りには巨大噴火を起こした火山が複数あるにもかかわらず。安倍政権は盛んに「世界一厳しい基準」と触れ込みますが、それがいかに根拠のないものか▼地元では“命とふるさとを守れ”と反対の声がわきおこっています。大飯(おおい)原発の運転差し止めを命じた先の福井地裁判決は、国民の命とくらしを守ること以上に大切なことはないと再稼働に歯止めをかけました。正念場のたたかいです。