2014年7月17日(木)
避難計画も火山対策もなおざり
規制委 川内原発「適合」
「再稼働」結論ありき
九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県薩摩川内市)1、2号機の再稼働の前提となる新しい規制基準に「適合していると認められる」とした審査書案を原子力規制委員会が16日、了承しました。笠井亮・日本共産党原発・エネルギー問題対策委員会責任者は「事実上の再稼働の『合格証明書』を出すものであり断じて認められない」とする談話を発表しました。
(笠井原発対策責任者が談話)
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審査書案は、過酷事故対策、地震津波対策などを示した九電の申請に対し審査の経過や評価をまとめたもので、避難計画や火山対策など多くの課題についてまともな対応のないまま。規制委は、世界最高水準の対策も盛り込んでいない新基準に基づく審査書案を他の原発の“ひな型”としようとしています。
審査書案は、想定される地震の揺れ(基準地震動)を九電が申請時の540ガルから620ガルに引き上げ、津波が到達する高さを約1メートル引き上げて6メートルにしたことを「規定に適合」と確認。火山対策では、大規模な噴火の「可能性は小さい」などとする九電の方針を「妥当」とし、新たに義務づけられた重大事故対策も、特定のシナリオに基づく限定的な対策を「有効と判断した」などとしています。
審査書案について、一般から科学的・技術的意見の募集を8月15日まで実施した後、審査書を確定し、変更申請への許可を決定する予定です。
適合性審査は、今回の変更申請のほかに、機器の詳細な耐震性などを確認する工事計画認可申請と過酷事故対応の前提となる運転管理体制を示す保安規定変更認可申請が対象となっており、それぞれの認可が必要です。また、原発の運転前には使用前検査が実施され、立地自治体の同意などが必要です。
たたかいこれから
安倍政権は、規制委の審査を満たした原発を再稼働させるといっています。
しかし、今後、規制委で詳細な工事計画などの審査や、地元の同意などさまざまなプロセスがあります。周辺住民の避難計画の不備が指摘されるなど、多くの住民が不安をかかえたままです。原発から30キロ圏の自治体に防災計画が義務づけられている中で、電力会社が同意を得る自治体の範囲も問題になっています。
再稼働を許さないたたかいがカギを握っています。
再稼働進める首相が明言
安倍晋三首相は16日、原子力規制委員会が川内原発1、2号機の再稼働に向け、新規制基準を満たすとした審査書案を公表したことについて、「一歩前進ということだろう。安全だと結論が出れば、地元への理解をいただきながら、再稼働を進めていきたい」と述べました。宮城県東松島市内で記者団の質問に答えました。