2014年7月16日(水)
DIO社 雇い止め・給与遅延確認
本紙指摘 厚労省が調査報告
厚生労働省は15日、東日本大震災からの復興をかかげて国の緊急雇用創出基金事業を使い、企業などの電話対応業務を行うコールセンターを、東北地方を中心に十数カ所設立したものの、相次いで閉鎖、雇い止めなどの深刻な事態を発生させている株式会社DIOジャパンに対する調査結果(中間報告)を発表しました。
この問題は本紙が6月11日付社会リポートで、「DIOジャパン 復興装い 補助金目当てか」と初めて報じたもの。
調査によれば関連子会社は11県19市町に所在、2014年度までの事業委託費は総額42億8600万円(14年度分の6億8200万円は契約額)で、事業実施期間中の雇用人数は2143人(延べ雇用人数)。
中間報告は、大量退職者については「緊急雇用創出事業実施中の解雇・雇い止めは確認されていない」としながらも、「事業終了後、数カ月での雇い止めにより雇用者数を大きく減らしているところがある」としています。
福島県のいわきコールセンターでは事業終了前の13年2月末日の被保険者194人が、3カ月後の6月末には78人になっていた、と指摘。岐阜県の美濃加茂、愛媛県の西予などのコールセンターでも同様な傾向があったとしています。
給与支払いの遅延については、宮城県の気仙沼コールセンターで14年4月分・7人分の支払い遅延を確認。事業終了後の遅延は7月2日時点で10県15市町16事業所で、4月分と5月分の給与約7320万円が未払いとなっている、としました。
大量退職、給与遅延について同報告は「事業終了後においても安定した雇用につながるよう都道府県を通じ、市町村及び受託事業者へ指導している。(事業中の)遅延については制度上生じないはずでDIOに対し厳重に指導した」としています。
この間、本紙などが指摘してきた「事業で発生した収入の取り扱い」については、「国庫に返還すべき利益が残っているか否かについて、詳細な事実関係を自治体とも連携して調査・確認する必要がある」としています。