2014年7月14日(月)
解雇しやすく低賃金
「多様な正社員」拡大へ
厚労省 有識者懇が報告書案
解雇しやすく、低賃金とされる恐れが強い「多様な正社員」にかかわって、厚生労働省に設置されている「多様な正社員の普及・拡大のための有識者懇談会」が11日、報告書案を発表しました。今後、「雇用管理上の留意事項」や就業規則の規定例を整理し、政策提言をまとめるとしています。
報告書案は、「多様な正社員」の分類として「勤務地限定」「職務限定」「勤務時間限定」をあげています。
事業所閉鎖や職務の廃止などによる「多様な正社員」の整理解雇について、解雇回避努力が不要とされるものではないとしつつ、「配置転換が可能な範囲の広さに応じて、使用者に求められる同一の企業内での雇用維持のための解雇回避努力の程度も異なってくる」と指摘。正社員と比べ「多様な正社員」の解雇が容易となりうることを示唆しています。
高度な専門性などをもつ「職務限定正社員」については、本来、解雇回避努力にあたらない退職金の上乗せ、再就職支援によって、「解雇回避努力を尽くした」とした裁判例があることを明示。整理解雇法理を掘り崩す内容となっています。
非正規雇用労働者から「多様な正社員」への転換とあわせて、「いわゆる正社員から多様な正社員へ転換できることが望ましい」として、正社員の労働条件低下をもたらす仕組みを明記しました。
処遇にかかわって、正社員と比較して「多様な正社員」の賃金が、8〜9割になっていると指摘。この格差是正につながる「均等待遇」(同じ仕事をすれば同じ賃金を支払う)の実現に背をむけ、「均衡処遇」が必要とするにとどまりました。