2014年7月11日(金)
集団的自衛権 首相“二枚舌”外遊
外国では「法基盤一新」 国内では「変わらない」
ニュージーランド、オーストラリア、パプアニューギニアの3カ国を外遊中の安倍晋三首相は各国で、自らが掲げる「積極的平和主義」と集団的自衛権行使容認に向けた「閣議決定」について説明を重ね、「安全保障の法的基盤を一新した」などと発信しています。国内での発言とは大きく異なり、その二枚舌ぶりが目立ちます。
首相は8日、オーストラリア連邦議会での演説で、「なるべくたくさんのことを諸外国と共同してできるように、日本は安全保障の法的基盤を一新しようとしている。法の支配を守る秩序や、地域と世界の平和を進んでつくる一助となる国にしたい」と語り、集団的自衛権の行使にむけた憲法解釈変更の「閣議決定」を誇示しました。
前日の7日には、ニュージーランドのキー首相と会談し、集団的自衛権行使を容認する「閣議決定」の考え方を説明。8日のアボット豪首相らとの会談でも同様の説明を重ねました。
ところが、国内では、安倍首相の説明は違います。
安倍首相は1日の記者会見では、「現行の憲法解釈の基本的考えは、今回の『閣議決定』でも何ら変わることはない」と強調していました。政府・内閣官房の「一問一答」(5日発表)も「閣議決定」について「いわゆる解釈改憲ではない」と主張しています。
しかし、安倍政権による「閣議決定」は、集団的自衛権の行使や海外での武力行使は許されないという従来の政府の憲法解釈を根底から覆す、まさに“安全保障の法的基盤の一新”であり、「海外で戦争する国」づくりがその真相です。
国外では“安全保障の法的基盤の一新”とその事実を認めながら、国内では、うそとごまかしに終始する。「閣議決定」後初となった外遊から、安倍政権の姑息(こそく)な姿勢が浮かび上がりました。 (山田英明)