2014年7月10日(木)
生活保護の住宅扶助基準引き下げ
218市民団体が反対
厚生労働省が生活保護の住宅扶助基準の議論をすすめる中、貧困問題に取り組む諸団体は9日、同省内で会見し、基準引き下げの動きに反対する共同声明を発表しました。218団体が賛同しています。
「住まいの貧困に取り組むネットワーク」の稲葉剛世話人は、同省が住宅扶助の上限値と一般低所得者の家賃実態の平均値との比較で「引き下げありき」の議論を誘導し、来年度から住宅扶助基準の引き下げを狙っているのではと懸念を表明。根本的な問題は、公営住宅を増やさないなど日本の住宅政策の失敗にあると指摘し、「住まいの貧困にメスを入れた上で、議論すべきだ」と述べました。
生活保護問題対策全国会議の代表幹事・尾藤廣喜弁護士は、国土交通省が設定する最低居住面積水準そのものの議論をせずに、住宅扶助基準を変えるのは許されないと強調しました。
全国生活と健康を守る会連合会の安形義弘会長は、住宅扶助基準を引き下げれば国民全体の住宅事情を劣化させると批判し、「健康で文化的な最低限度の生活を保障する住宅のあり方を議論すべきだ」と話しました。
室内でも車いすを使って暮らす男性(41)=東京都世田谷区=は、手すりなどの設置を嫌がる家主が多く、住宅扶助基準を上回る住宅に住まざるを得ない実態を告発しました。