2014年7月10日(木)
きょうの潮流
200万人をこえる在留外国人。そのうち13万余が小・中の学齢期の子どもたちです。日本には約220校の外国人学校があり、なかでもブラジルと朝鮮学校が群を抜いて多い▼欧米では、外国人学校の7〜8割が政府や州から正規の学校として認められています。ドイツは教科書や通学費などを援助。米国やイギリスでは大学受験の資格があり、進学の機会を保障しています(朴三石(パクサムソク)著『外国人学校』)▼手厚く保護されている諸外国に比べると、日本の外国人学校の扱いは著しく劣ります。半数以上が無認可、残りもほとんどが各種学校の位置づけ。とくに朝鮮学校は高校無償化から除かれ、補助金を出さない地方自治体も増えつづけています▼そんな実態を知ってもらおうと、新宿の高麗博物館で企画展が催されています。タイトルは「ともに生きる グローバル化の中の民族教育」。19日には、朝鮮学校に子どもを通わす親たちとの交流会も開かれます▼国による排除や差別は憎しみをあおるヘイトスピーチの温床にもなってきました。先の大阪高裁は、それを「人種差別に当たり、法の保護に値しない」と断罪。民族教育の重要性を認め、在特会に賠償と学校周辺での街宣禁止を求めました▼博物館の田崎敏孝専務理事はいいます。「日本に植民地支配された朝鮮の人びとの歴史を振り返れば、差別することがいかに恥知らずか。国はもちろん、これは日本人全体の問題です」。多様な文化を認めあい、ともに生きる社会をつくるためにも。