2014年7月5日(土)
就学援助 400自治体に影響
保護基準引き下げに連動
低所得世帯に小学校や中学校の学用品費や給食費、修学旅行費を補助する「就学援助」(155万人利用)が、生活保護基準の引き下げと連動して、縮小される危険性がある自治体が約400(全体の22%)にのぼることが4日までに分かりました。安倍政権の閣僚は「他の制度に影響させない」と繰り返しましたが、守られていないことを示しており、国の対応が問われます。
生活保護費の削減に伴い就学援助の基準も引き下げてしまうと、援助を受けられない世帯が出てきます。ところが文部科学省調査では、全国1768自治体のうち、71の自治体が何の対応も行っていません。
さらに1203自治体では生活保護基準額に一定の係数(例えば1・2倍など)をかけて就学援助の認定基準を決めています。このうち318自治体では生活保護費削減に連動して自動的に基準を引き下げたうえ、2013年度に対象となった世帯に限って、変更以前の基準を踏まえ認定するとしています。
現在、就学援助を受けている人は継続されたとしても、新たに今年度、申請する場合には援助対象から外される児童・生徒が出るおそれがあります。
一方、対応していない自治体は、横浜市や東京都中野区、大津市、富山市、大阪府の泉大津市や高槻市、山口県下関市、長崎県佐世保市など71自治体です。
横浜市は、標準4人世帯の就学援助認定基準(生活保護基準の1・0倍)を、年間358万円(所得)から344万円に引き下げました。このため2012年度の利用者は4万94人ですが、今年度の就学援助予算額は1%減となり、約400人が利用できなくなる見込みです。
東京都中野区でも、基準を413万円から390万円に引き下げ、現在2958人の利用者が約200人減る見込みです。
両自治体とも除外される人への新たに世帯への支援制度は設けていません。政府は自治体に対して、就学援助など住民に影響が及ばないよう通知で「依頼」しているだけで、財政支援は一切おこなっていません。