2014年7月5日(土)
最低賃金に世界注目
米 学校職員(ロサンゼルス)15ドルに
【ワシントン=洞口昇幸】米カリフォルニア州ロサンゼルス市と隣接する自治体で構成するロサンゼルス統一学区と、同学区で働く学校職員が加盟するサービス業国際労組(SEIU)第99支部は3日までに、職員の最低賃金を現行の時給8〜9ドル(およそ870円)から、2016年までに時給15ドル(約1530円)に引き上げる労働協約に合意しました。
同学区は全米で2番目の規模。今回の合意で賃上げになる学校職員は、校内の食堂従業員や警備員など2万人近く。その約半数は同学区に通う児童・生徒の親でもあります。
SEIU本部のヘンリー議長は声明で、「子どもに可能性のある世界を開き、地域のすべての人に輝く未来をもたらす」と合意を歓迎。最低賃金の時給15ドルへの引き上げを求める全米の運動を励ますと強調しました。
学区当局の発表によると、1日に開かれた教育委員会の幹部会議では「教育の向上、景気回復のための前進だ」などの声が上がりました。
独 制度導入、全国8.5ユーロ
ドイツ連邦議会(下院)は3日、法定最低賃金の導入に関する法案を賛成535、反対5、棄権61の圧倒的多数で可決しました。連邦参議院(上院)での採決を経て、2015年から17年まで段階的に8・5ユーロ(約1200円)の全国一律の最低賃金が実施されることになります。欧州連合(EU)加盟国で法定最低賃金導入は23カ国目。
ドイツでは経済が好調な一方、低賃金労働者が増え、法定最低賃金導入の声が高まっていました。13年の連邦議会選挙でも争点となり、メルケル第2次連立政権が導入を決めていました。低賃金労働者の賃金引き上げが、社会的格差是正をする柱の一つになると期待されています。
さらに、16年中に労使による最低賃金委員会を設置し、17年以降の最低賃金額を決めます。
ただ18歳未満の労働者や長期失業者などが就労する場合は例外としており、労組からは「例外なき最低賃金導入でない」との批判も出ています。 (片岡正明)