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2014年6月30日(月)

政府の福祉人材確保策

処遇改善策こそ

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 安倍政権は、人材不足が問題になっている介護や看護、保育、建設を重点4分野に位置づけ、対策を検討しています。福祉分野で明らかになった中身をみてみると―。

 (岩間萌子)

 厚生労働省の検討会の中間報告は、「職場の魅力を高め、人を誘導するとともに、個々の能力を高めて、更なるキャリアアップに結びつけていくことが重要」として、(1)雇用管理改善(2)潜在有資格者の掘り起こし(3)能力開発を提示。雇用管理は、アドバイザーの配置など啓発が中心で、ナースセンターなどによる求人紹介や職業訓練などを掲げています。

 一方で、財界からは介護、建設分野での外国人労働者の活用や、育児経験がある主婦を国家資格でない「准保育士」として活用する声が出されています。

専門性否定

 厚労省は「子育て支援員(仮称)」を設け、来年度から始まる子育て新制度の小規模保育や家庭的保育などは簡単な研修を受けた主婦などで補おうとしています。専門性を否定し、低賃金の不安定雇用を増やして安上がりの体制をつくろうとしています。

 なぜ人材不足がおこっているのか。横山寿一・金沢大学教授(社会保障論)は「仕事に見合うだけの処遇が保障されていないことが、人が集まらない、人が辞めていかざるをえない原因になっている」と指摘します。

 厚労省の2013年調査では、全産業の平均年収324万円に比べ、保育士は213万円、施設に勤める介護職員は218万円。保育士を希望しない理由は、「賃金が希望とあわない」が47・5%と断トツです。厚労省の調査(2010年度)では、看護師の退職理由の上位に「超過勤務が多い」「休暇がとれない・とりづらい」が上がっています。

 施設に勤める介護職員の4割、訪問介護員の8割が非正規職員。人員不足と低賃金などで離職率も全産業平均より高いままです。

 横山教授は、「医療や保育、介護の質を支えている専門職の人間らしい働き方、働き続けられる労働環境を保障することなしに、人材確保の解決はありません。診療報酬の引き上げや人員配置の拡充をすべきです」と強調します。

予算措置を

 介護職員の処遇改善では、15年4月の報酬改定に向けて「必要な措置を講ずる」とする法律が20日、全会一致で成立しました。政府が予算措置をとることが求められます。

 横山教授は、「現在の仕組みでは、介護報酬の引き上げが保険料の高騰につながるため、以前に導入された加算金など別だてで処遇改善を行うことも有効ではないか」と提案しています。

介護福祉士の職場を辞めた理由(複数回答、2012年度調査)

 「収入が少なかった」23.5%(4位)「労働時間・休日・勤務体制があわなかった」18.9%(6位)

保育士の就業を希望しない理由(複数回答、2013年調査)

 「賃金が希望と合わない」47.5%(1位)「休暇が少ない・とりにくい」37%(5位)

看護職員の退職理由(複数回答、2010年度調査)

 「超過勤務が多い」10.5%(5位)「休暇がとれない・とりづらい」10.3%(7位)「夜勤の負担が大きい」9.7%(8位)


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