2014年6月28日(土)
無人機攻撃 戦略見直し勧告
地球の至る所で紛争広げる
米民間研究所
【ワシントン=島田峰隆】米民間研究所スティムソン・センターは26日、米政府がテロ対策を口実に国外で実施している無人機による攻撃について「連続的なあるいは広範な戦争へと転がり落ちる危険な坂道を開く可能性がある」として、運用戦略の見直しを勧告する報告書を発表しました。
報告書は、アビザイド元中央軍司令官をはじめ退役軍人と国務省や国家安全保障会議の法律顧問を務めた専門家らが共同でまとめました。オバマ大統領が昨年5月、無人機の運用見直しの演説を行ったことを受けて作業を進めていました。
報告書は、無人機について「礼賛も悪者扱いもしない」として容認する一方、「戦略的な疑問」を列挙。無人機は危険が少なく低費用だとされることから、紛争に関わる敷居が低くなり、他国も米国に倣って無人機による攻撃を行うようになる可能性があると述べ、「地球上のあちこちの地域で紛争を広げる危険がある」と強調しました。
また無人機攻撃で民間人に犠牲者を出していることについて「その地域全体を怒らせ、反米感情を強め、テロ組織にとっては人員補充の強力な道具になりうる」と指摘。米国の同盟国や国連からも批判が出ているとして「国際的な反発の危険を計算に入れる必要がある」と指摘しました。
報告書は、無人機攻撃が秘密作戦とされていることを特に問題視し、「民主主義への挑戦だ」「議会もその重要な監督機能を発揮しにくくされている」と述べました。
そのうえで▽戦略の厳密な見直しと費用対効果の分析▽攻撃についての透明性の強化▽運用方針を検証する独立した委員会の設置―など八つの勧告を示し、政府や国民と議論することを提案しています。