2014年6月27日(金)
残業代ゼロ 米で対象縮小へ見直し案
日本では新たに導入の動き
【ワシントン=洞口昇幸】米国で、一定収入以上の労働者に残業手当を支払わなくてよい制度(ホワイトカラー・エグゼンプション)をめぐり、「労働者とその家族、経済に損害を与える」として、その対象を縮小する法案がこのほど、上院に提出されました。
米国では法律で、超過勤務に割増賃金(残業手当)を支払うことを定める一方、その適用除外を規定。現在、年収2万3660ドル(約241万円)以上の管理職や専門職、事務職が「残業代ゼロ」の対象となっています。これは給与所得者の88%に相当。1975年には35%にとどまっていました。
上院・厚生教育労働年金委員会のハーキン委員長(民主)ら9議員が18日、提出した法案は、今後3年間で適用除外の基準を年収5万6680ドル(約578万円)以上にまで引き上げ、その後は物価に連動させます。
この改定で「残業代ゼロ」の対象は給与所得者の約53%にまで縮小するとしています。ハーキン委員長は「簡単明瞭、長時間働かねばならないなら、給与を増やすべきだ」と述べました。
オバマ大統領は3月に同様の趣旨で、制度の見直しを労働省長官に指示する大統領令に署名しています。
安倍政権が24日に閣議決定した新成長戦略では、米国で見直しの動きが出ている「残業代ゼロ」について、これを導入する「新たな労働時間制度」を盛り込みました。