2014年6月25日(水)
PFI事業
「民間資金活用」のはずが税依存に
廃止も含め徹底検証を
内閣府は、「PFI事業の実施状況について」と題する「報告」を国会に提出しました。事業の破綻事例が相次いでいるにもかかわらず、安倍晋三政権は、事業推進姿勢を変えようとしていません。問題点を見てみました。
PFI事業は公共施設などの建設、維持管理、運営などを民間の資金や経営能力を活用して推進するものです。
この「報告」は2013年5月のPFI法改定の際、参院内閣委の付帯決議で同法の施行から、「10年以上経過していることに鑑み、この間のPFI事業の実施状況を検証・評価し、国会に報告すること」とされたことからとりまとめられたもの。
事業破綻相次ぐ
PFI事業実施から10年以上、事業の破綻や事実上の倒産事例が相次いでいるのが実態です。
具体的には、▽福岡市の「タラソ福岡」▽北九州市の「ひびきコンテナターミナル」▽名古屋市の「名古屋港のイタリア村」などの経営破綻▽仙台市の「スパポーク松森」の天井崩落事故▽滋賀県近江八幡市の「近江八幡医療センター」の契約解除▽高知県「高知医療センター」の事業契約解除提案―などがあります。
このため「報告」では、「厳しい財政状況や公共投資の抑制等を背景に、単年度当たりのPFI事業数・事業費は2009年頃より減少傾向にある」と指摘せざるを得ませんでした。
PFI事業は、単年度で見ると、ピーク時の02年の47件から、10年には15件に落ち込みました。金額も08年の6979億円から、11年には、1186億円に減少しています。
これは、現在進めている多くの事業が、需要や経営効率化を過大予測し、しゃにむに推進しているためです。
内閣府も認める
PFI事業は本来、民間資金、技術などを使い公共施設の整備を進めるもの。整備費や管理費を「税財源以外の収入(利用料金等)により費用を回収する」のが目的です。しかし、税財源に依存しない事業は、これまでの総事業件数418件のうち21件にすぎません。そのため、事業官庁である内閣府の特別機関である民間資金等活用事業推進会議が決定した文書ですら「法の本来の目的が必ずしも十分に達成されているとは言い難い状況にある」(「PPP/PFIの抜本的改革に向けたアクションプラン」13年6月)と指摘しています。ここに根幹的矛盾があります。
にもかかわらず、同アクションプランでは、10年間(13年〜22年)で12兆円規模に及ぶ事業を「重点的に推進する」とし、「目標と具体的取組」を明示して、空港、上下水道、道路等の分野での導入を進めています。
日本共産党はPFI事業のねらいが大企業・金融機関・ゼネコンのための新事業をつくり出すために、従来の公共分野のしごとを広く民間の事業に明け渡すものと指摘してきました。
内閣府の特別機関が認める事業の根幹的矛盾と問題点が出てきた以上、事業の廃止も含めた徹底的な検証が必要です。
(日本共産党国民運動委員会・高瀬康正)