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2014年6月19日(木)

安倍政権暴走に呼応

海外派兵の留守家族「支援」

自衛隊と自治体が協定「改定」

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 「海外で殺し、殺される武力行使」を可能にする集団的自衛権行使容認に暴走する安倍政権に呼応した自衛隊の新たな動きが始まっていることが本紙の取材で分かりました。アフリカ・ソマリア沖での「海賊対処」行動や南スーダンでの「国際平和協力活動(PKO)」などの海外派兵での派遣隊員の留守家族に対する保育や介護などの情報提供や助言を自治体が行うという「支援」協定締結です。


写真

(写真)家族らに見送られて南スーダンに出発した派遣隊員45人=18日、北海道美幌町の陸自美幌駐屯地前

 2011年3月11日の東日本大震災をきっかけに、自衛隊が国内での大規模災害に派遣された隊員の留守家族に対し、▽駐屯地の部隊内臨時託児施設の設置や保育に関する助言・指導▽要介護家族が介護サービスを受けるための支援―などの支援協定を駐屯地のある自治体と結ぶ例が相次ぎました。

 13年5月に、「大規模災害などの発生」時での支援協定を自衛隊と締結した北海道留萌市で、今回明らかになったのは、対象を国内災害派遣から海外派遣に広げた「改定版」。北海道の陸上自衛隊留萌駐屯地が同市と今年1月17日に結んだもので、国内外での緊急対処事態、国際平和協力活動などに対応する全国初の協定でした。

 第15次派遣海賊対処行動航空隊の警衛隊として同駐屯地の第26普通科連隊56人が1月下旬からのジブチへの派遣決定を受けての措置でした。

 3月10日には陸自静内駐屯地が新ひだか市と同様の協定を締結しています。

 陸自北部方面総監部は本紙の取材に「これまでの災害派遣時の支援協定に対し、緊急対処事態、国際平和協力活動など自衛隊の本来任務を含めた協定が必要になっている。今後、各駐屯地の自治体とも合意を得て広げていきたい」としています。

解説

新たな“銃後の守り”

 防衛省・自衛隊が、日本本土への攻撃ではない内外での緊急対処事態や海外派遣などに絞った隊員留守家族への支援協定締結を始めたことには背景があります。

 最初は大規模災害に派遣された隊員の留守家族対象でした。東日本大震災直後の2011年3月に自衛隊東富士演習場を抱える静岡県御殿場市など周辺自治体と締結しました。

 北海道では12年11月に千歳市と陸自東千歳、北千歳駐屯地、航空自衛隊千歳基地との同趣旨の協定調印が最初でした。今年1月現在で22市町で締結、その後、3自治体が調印。現在も「4市町で協定締結を協議中」(陸自北部方面総監部)としています。

 自衛隊は、こうした大規模災害での派遣隊員の留守家族への支援協定を海外派遣にまで拡大したい思惑です。憲法が禁ずる海外での武力行使をめざした安倍政権による集団的自衛権行使容認への暴走と一体のものです。

 自民党は昨年6月、安倍政権による「防衛大綱」見直しへの提言で力説しています。「国内外で厳しい任務を遂行している自衛隊と家族の絆の維持を支援するため留守家族支援策を含めた自衛隊員の処遇のいっそうの改善を図る」

 これを受け、安倍政権は昨年12月、閣議決定した防衛大綱の「防衛力の能力発揮のための基盤」のなかで「任務に従事する隊員や留守家族の不安を軽減する各種家族支援を実施する」と明記しました。

 陸自北部方面隊が結んだ全国初の海外派兵に向けた新協定は、集団的自衛権行使、「海外で戦争する軍隊」のための新たな「銃後の守り」といえます。

 (山本眞直)


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