2014年6月19日(木)
石油は国内に193日分備蓄
石油輸入に「死活的」と言うが機雷掃海に現実味なし
政府・自民党は集団的自衛権の行使容認に関し、日本向け石油量の8割が通過する中東のホルムズ海峡を念頭に、戦時下での自衛隊による機雷掃海を想定しています。安倍晋三首相は、石油輸入を「死活的に重要」だとして機雷掃海の必要性を強調します。しかし、日本は今年3月末現在、国と民間合わせて193日分の消費量に相当する石油を国内に備蓄していることが分かりました(国110日、民間83日分)。
石油備蓄は中東情勢の不安定性に対応するために取っている対策です。自衛隊が機雷掃海をしなければ「国の存立を脅かす」(集団的自衛権に関する閣議決定案)という論理は、政府の施策からも矛盾しています。
資源エネルギー庁によれば、石油備蓄は1973年の第1次石油ショックを受けて75年に制定された「石油備蓄法」に基づいて行われています。
90年のイラクのクウェート侵攻で日本のタンカー航行にも重大な影響が発生しましたが、同年末時点で日本は142日分の石油備蓄を確保。さらにイラク、クウェート両国からの原油輸入が途絶えた分、サウジアラビアやイランなどからの輸入を増やしました。湾岸戦争が発生した91年の輸入総量はむしろ、前年より微増しています。
ホルムズ海峡の機雷掃海が焦点になったきっかけは、反米のアハマディネジャド前政権(イラン)が2011年に「ホルムズ海峡封鎖」を示唆したことです。
米軍は12年9月、13年5月と続けて、バーレーン沖で機雷掃海の多国籍演習を実施してイランをけん制。同演習には海上自衛隊も参加しました。
そのイランは昨年、穏健派のロウハニ政権に交代。経済制裁の解除をめざし核開発問題で欧米と協議に入っています。防衛省によれば、機雷掃海演習は今年、まだ実施予定がありません。
石油運搬ルートではホルムズ海峡を回避する動きもあります。アラブ首長国連邦が一昨年、同国西部の油田からオマーン湾岸までの陸上パイプラインを稼働させています。
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