2014年6月18日(水)
主張
教育委改悪法成立
政治介入許さぬ共同をさらに
政治が教育を支配することを可能にする教育委員会改悪法が自民・公明の与党などの賛成で成立しました。政治的中立性が脅かされることに教育や教育行政の現場から多くの危惧の声があがっていたにもかかわらず、教育委員会の自治体首長からの独立性を奪う法律を成立させた各党の責任は重大です。政治の不当な介入を許さず、教育の自由と自主性を守る国民的共同をいっそう強めることが求められています。
法律の矛盾浮き彫り
教育委員会改悪法は、住民代表による教育委員会が首長から独立して教育行政を進める制度を覆し、文部科学省や首長の教育への政治介入に道を開くものです。自治体の教育政策の大本になる「大綱」を定める権限を首長に与え、教育委員会はその「大綱」に則して教育行政を行わなければならない仕組みにします。「大綱」は国の方針を参考にしてつくることになっています。
日本共産党の国会質問で、教科書採択や学力テストの結果の公表など教育委員会の権限である事項について、教育委員会の同意がなくても、首長が勝手に「大綱」に書き込めることが明らかになりました。首長が教育内容にまで口を出し、思い通りにする法律の危険な側面を浮き彫りにしています。
一方で、首長が「大綱」に書き込んだことであっても、教育委員会は同意していなければ、従う義務がないことも明確になりました。教育長が教育委員会の決定に従わなければならないことも確認されました。これらは首長や教育長の独走を防ぐ上で重要です。
安倍晋三政権が教育委員会改悪法を通した狙いは、侵略戦争を美化する歴史教科書を「教育基本法にもっともふさわしい」として採択させるなど「安倍流愛国心」教育を全国の学校に押し付けることと、全国学力テストの学校別の結果公表をさせるなど異常な競争主義の教育をさらに拡大することにあります。しかし、ここでも安倍政権は矛盾を深めています。
下村博文文科相は月刊誌の対談で、検定に合格した教科書を「愛国心」がきちんと教えられていないとして「教育基本法に則(のっと)っていない」と不当な攻撃をしていましたが、日本共産党の追及により、検定に合格した教科書はすべて「教育基本法に則っている」と発言を事実上撤回しました。学力テストの結果公表についても、下村氏は「過度の競争原理を促進させるようなことについては十分な配慮が必要」とのべざるを得ませんでした。安倍政権の暴走に何の道理もないことは明らかです。
本来の役割果たさせる
教育への政治支配を許さないためには、教育委員会が本来の役割を果たせるようにすることが重要です。対話やアンケートなどを通じて保護者・子ども・教職員・住民の要求や不満をよくつかみ、教育行政に反映させていく教育委員会にすることは、制度が改悪されたもとでも十分可能です。それぞれの自治体で教育委員会を活性化するための取り組みを広げることを呼びかけます。
日本共産党は、改悪法に反対する国民的共同を呼びかけ、教育委員会などとの懇談を広げてきました。各自治体で教育行政を改善するために、国民・住民とともに引き続き力を尽くすものです。