2014年6月18日(水)
閣議決定原案 「集団的自衛権」明記
無限定に武力行使容認
政府は17日、自民、公明両党の安全保障法制整備に関する協議会で、解釈改憲に関する閣議決定原案を正式に提示しました。原案は、日本への武力攻撃がなくても、他国への武力攻撃の発生で日本が武力行使することについて、「国際法上は集団的自衛権が根拠となる」と記述。「集団的自衛権」の文言を明記しました。
原案は、(1)武力攻撃に至らない侵害(グレーゾーン事態)への対処(2)国際社会への一層の軍事貢献(海外派兵の拡大)(3)憲法9条の下で許容される自衛の措置(集団的自衛権の行使容認)―の3本柱で今後の法整備の方向性を提示(原案概要)。集団的自衛権の発動要件については、高村正彦自民党副総裁の座長私案(「武力行使の3要件」)がほぼそのまま取り入れられています。
私案は「我が国の存立が脅かされ」る場合や、国民の生命、権利が根底から覆される「おそれ」がある場合に無限定に武力行使を認めるもので、“地球の裏側”まで海外派兵が可能です。この私案については公明党内の議論はおろか、前回与党協議でもほとんど議論されておらず、正式な与党合意もないまま政府原案に反映された形です。
また、米軍などへの後方支援では「戦闘地域に行かない」との歯止めを外し、(1)「戦闘現場」では実施しない、(2)「戦闘現場」になれば活動中断、(3)捜索救助は例外とする―3要件を新設。いつ「戦闘現場」に変わるかもしれない“戦地”での支援を可能としています。
高村氏は議論がいまだ不十分であることを自ら認めながら、閣議決定に向けて日程調整を両党幹事長に一任したことを明らかにしました。「閣議決定ありき」で、協議の早期幕引きを狙っています。
さらに高村氏は、「公明党からもいろいろ聞いた上で修正は柔軟に対応したい」と両党で閣議決定文の文言調整を進める意向を表明。公明側は20日の次回会合で案文の議論に入ることで自民側と一致しました。
会合後、北側一雄公明党副代表は「20日にまとまるという話にはならない」と述べ、今国会中の合意は困難との認識を示しました。
政府提示の閣議決定原案 (概要)
1 個別的自衛権の緩和(1)警察機関が直ちに対応できない場合の自衛隊の対応
(2)自衛隊と連携する米軍部隊の武器等防護
2 国際社会への軍事貢献
(1)他国軍への「後方支援」
(2)PKOに伴う武器使用
3 集団的自衛権の行使容認
4 今後の国内法整備の進め方