2014年6月16日(月)
集団的自衛権 発動可能の「3要件」
高村私案 地方紙が批判
歴代の政府見解から逆の結論・根底に憲法軽視の体質
「歴代内閣が踏襲してきた政府見解の論理構成を無視し、全く逆の結論を導くことが許されるのか。高村氏が提示した新たな要件も、文言を都合のいいように引用したと言われても仕方あるまい」(徳島新聞)
公明党との協議で自民党の高村正彦副総裁が集団的自衛権の発動を可能とする3要件を示した私案に、14日付地方紙は批判の社説を掲げました。批判が集中したのは、高村私案が集団的自衛権を否定した1972年の政府見解を援用して、これと全く逆に集団的自衛権行使容認を導き出していることです。
「同じ見解から正反対の結論を導き出すのは理解できない。憲法改正手続きの要件を緩めようとした『96条改憲』は『裏口入学』といわれた。今回のたたき台はこれよりもっとひどいというほかない」(沖縄タイムス)
「(72年政府)見解の後段は『他国に加えられた武力攻撃を阻止することを内容とする集団的自衛権の行使は憲法上許されない』だ。これが結論なのである。あり得ない援用と言わなければならない。こじつけに近い理屈によって、国の行方を決める転換を進めていいはずがない」(新潟日報)
根底に憲法軽視の体質があるとする指摘もあります。
高知新聞は、「憲法が国家権力を縛るという考え方」を「過去の考え方」とした安倍首相の言葉を引用し、「安倍首相に限らない。自民党内には立憲主義への無理解や軽視がかなり広がっているようだ」と述べ、「首相は常々『法の支配の原則』を口にしている。『立憲主義にのっとった政治』を本当に実行するのであれば、解釈改憲ではなく、正面から憲法改正を国民に問うべきだ」と強調しています。
高村私案を受け「党内でしっかり協議したい」と応じた公明党に、「これを認めて、『平和の党』といえるのか」(信濃毎日新聞)といった厳しい意見が目立ちます。沖縄タイムスは、「公明党は『連立離脱は考えていない』と明言する。政府・自民党に足元をみすかされているのだ」とし、「これで民衆の側に立っているといえるのだろうか」と問いただしています。
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