2014年6月16日(月)
新国立競技場考えるシンポ
巨大壁 熱の塊 警鐘
2020年東京五輪のメーン会場となる新国立競技場の計画のあり方を問う緊急シンポジウム「神宮の森から新国立競技場を考える」が15日、東京都内で開かれ、建築家や環境問題の専門家、市民ら170人が集まりました。主催は「神宮外苑と国立競技場を未来に手わたす会」です。
新国立競技場の高さは現在の2倍の70メートルになるなど、巨大さ、景観、工事費が問題です。同会は「改修工事して使用すべき」だと主張しています。
先月末に発表された「建設基本設計」を基に世界的な建築家の槙文彦さんがコンピューターグラフィックスで再現。樹木はなく、30メートルのコンクリートの壁がそびえる「無表情な景観。『沈黙の土木加工物』だ」と批判しました。
帝京大学の三上岳彦教授(気候学)は、都会の緑地が人工排熱や地表面の高温化によって起こる「ヒートアイランド現象」を緩和していると指摘。「緑は天然のクーラー。緑地をつぶしてつくる新国立は熱の塊を置くようなもの」と警鐘を鳴らしました。
環境計画・政策専門の千葉商科大学の原科幸彦教授は、新国立は「現存の施設を最大限利用する」とのべた国際オリンピック委員会の環境基準に反すると指摘。「環境アセスメント(影響評価)をして行政は事業開始前に人々の懸念に応えるべきだ」と話しました。