2014年6月11日(水)
DIOジャパン
復興装い補助金目当てか
東日本大震災からの復興のために「人材育成事業」として次々と子会社を設立したものの、業務実態に疑問がもたれ、自治体が調査にのりだした会社があります。国の補助金と密接にかかわりながら業務を拡大してきた実態を追いました。(山本眞直)
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福島県いわき市で8日、「コールセンターへの委託事業を考えるつどい」が開かれました。40代の女性が「1年契約でしたが、継続雇用もある、との説明を信じて、一生懸命に働いたが1年で雇い止めされた」と、涙ながらに訴えました。
女性が働いていたコールセンターは、DIOジャパン(本社・東京都中央区、資本金4・6億円)が2012年2月に立ち上げたいわきコールセンター。東北地方を中心に相次いで子会社のコールセンター14社を設立。その“第1号店”です。
国の緊急雇用創出基金事業を活用して、企業などの電話対応業務を行うコールセンターをつくり、雇用を創出しようという「コールセンターオペレーター人材育成事業」の一つです。いわき市が実施し、同コールセンターに委託しています。
いわきコールセンターの受託内容を見ると、委託期間は1年で、育成する人数は200人。委託金額は7億5000万円。人件費が中心で、研修費、物品のリース料なども公的補助の対象で文字通りの補助率100%です。
DIOによる委託申請書には、こうありました。「いわき市への進出にあたっては、いわきコールセンターとし新規法人を設立する予定で、総合力あるコールセンター事業を展開し、地域雇用の確保に努めていきたい」
委託事業の最大のポイントは人材育成と雇用創出です。しかしその実態は―。
次々雇い止め
コールセンター関係者の告発を受けた日本共産党の渡辺博之いわき市議によるいわきコールセンター、市からの聞きとりによると、同コールセンターは委託期間の終了とともに次々雇い止めを始め、13年4月には95人に、14年5月には45人にまで削減しています。
その一方で、委託事業による補助金額を超える収益については市に返還が求められていますが、同コールセンターは「収益はない」としてこれに応じていません。
いわき市の調査に、同コールセンターの責任者は、研修業務の一環として独自にアメリカンホームダイレクトの保険勧誘業務などを請け負いましたが、「業務の受注はDIOが管理しており、業務の収入はない」と説明していると言います。
これは渡辺市議が指摘してきた、委託契約は同コールセンターながら、経理はDIOが管理することで実質は「営業所」扱いとなり、DIOが不当な収入を得ている、という実態そのものです。
いわき市調査
いわき市は、同コールセンターを調査した結果、こう結論付けています。
「いわきコールセンターはDIOジャパンの営業所となっている、との見解に近い実態が改めて確認された」
8日の「つどい」で、渡辺市議は強調しました。「委託事業を利用して親会社が連結決算という錬金術まがいの手法で不当な利益を得ている疑惑が強まっている。DIOの責任追及とコールセンターの健全な発展と従業員を守るため、さらに市議会で取り上げていきたい」
DIOジャパンは本紙の取材に「内部調査が必要」としています。
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