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2014年6月11日(水)

きょうの潮流

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 保育園の押し入れに入れられた、あきらとさとし。やがて、暗闇の向こうから不気味なねずみばあさんが…。「さとちゃん、てを つなごう」。2人の大冒険の始まりです▼絵本「おしいれのぼうけん」。児童文学作家の古田足日(たるひ)さんが、田畑精一さんとの共作で40年前に世に出しました。走り出す勇気、困難をのりこえる力をくれる絵本として、たくさんの子どもたちに愛されつづけ、読み継がれてきました▼試練にさらされながら、成長していく2人。現代の不安のなかで生きる力をどうはぐくむか、子どもが豊かに育っていく環境を整えて可能性を引き出すことは、おとなの責任―。亡くなった古田さんの多くの作品に通じるメッセージです▼「見事な軍国主義少年だった」という古田さん。天皇に忠誠を尽くした価値観は敗戦によって崩れ去り、代わる価値をもとめて児童文学の道に進みます。そして「世の中を新しく見る目」をもって、創作と評論の両分野で活躍しました▼子どもの自殺や失われた遊びの空間。時代の変化がもたらす、悪影響にも警鐘を鳴らしてきました。「平和や人間の尊さを深く伝えたい」と戦争児童文学の出版にも尽力し、「子どもの本・九条の会」の代表を務めました▼子どもたちを見つめる優しい眼差(まなざ)しと、成長を阻むものへの鋭い告発。「子どもとは、という枠組みにとらわれず、新しい子ども像をつくりだしたい」(『子どもを見る目を問い直す』)。その志は、数々の作品とともに受け継がれていくはずです。


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