2014年6月8日(日)
国保料減額世帯 最多4割
非正規労働者増え貧困拡大
低所得のために国民健康保険料・税が減額となる世帯が2012年度は885万世帯を超え、過去最多になったことが7日、明らかになりました。総務省が調べた「市町村民税課税状況」によるもの。国保料をめぐっては、高すぎて支払えず国保証を取り上げられるなど問題があります。専門家は「負担能力のない非正規雇用の人たちが増え、社会保険に入れず国保に集中している。貧困と格差のあらわれの一つだ」と指摘しています。
調査によると、12年度に政令によって国保の減額対象となった世帯は885万49世帯で国保加入全世帯の43・7%。減額対象世帯の被保険者数は、1439万352人で41・5%にのぼりました。
厚生労働省の国民健康保険実態調査によると、1965年には国保加入世帯の52・4%が自営業者と農林水産業者で、被雇用者は18%でした。12年には、被雇用者が31・1%を占める一方、自営業者らは13・9%まで減少しています。
その背景について、社会保障制度に詳しい三重短期大学の長友薫(まさ)輝(てる)教授は「企業が人件費や社会保険料を削り、社会保険に入れない非正規雇用が増加した結果だ」と指摘します。
非正規労働者は、年収が100万未満〜199万円が男性57・7%、女性85・6%と非常に低収入です。
長友教授は「7割減額の世帯は非常に低所得で、全額を公費負担にした方がいいほど。国保料・税が、支払えるかどうかという観点で設定されていないのが問題だ」と強調。「国庫負担を増やし、誰でも払える保険料設定にすべきだ」と指摘します。
(岩井亜紀)