2014年6月6日(金)
憲法闘争担当者会議への
山下書記局長の報告
(詳 報)
4日に開かれた日本共産党の全国憲法闘争担当者会議で報告に立った山下芳生書記局長は、会議の目的について、安倍政権による集団的自衛権行使容認への暴走という緊迫した情勢のもとで、(1)情勢とたたかいの展望をつかむ(2)「戦争する国づくり、暗黒日本への道を拒否する」国民的な共同を発展させる(3)草の根から憲法闘争を広げ、「躍進月間」の力にもしていく―の三つを提起しました。情勢と運動の特徴、運動の推進方向の二つの柱で報告しました。
首相のごまかし打ち砕いた志位質問
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山下氏は、5月15日の安保法制懇報告書提出と首相会見で「憲法をめぐる情勢が新しい局面に入った」と指摘しました。報告書と首相会見の関係では、海外での武力行使について、▽報告書は全面容認論▽首相会見は「限定行使」論―という二重構造になっており、首相会見では「武力行使を目的とした活動には参加しない」などの「二重三重のごまかしがある」とのべました。
このごまかしを打ち砕いたのが、衆院予算委員会の志位和夫委員長の質問でした。質問は、集団的自衛権の行使を容認したら、「武力行使はしない」「戦闘地域には行かない」とした二つの“歯止め”を残すのか、残さないのかというシンプルな論理で追い詰めた結果、首相は“歯止め”を残すとは言わず、逆に自衛隊の活動を拡大する方向で検討するとのべ、自衛隊が「戦闘地域」に行くことを認めました。そして、「武力行使を目的とした活動」でない後方支援でも、“歯止め”を外せば、相手側の攻撃対象となり戦闘に巻き込まれることになるのです。山下氏は「志位質問で『米国の戦争のために日本の若者の血を流す』という集団的自衛権行使の本質が浮き彫りになった」とのべました。
そのうえで、集団的自衛権行使の狙いが「これまでの歯止めを外して自衛隊を戦地に送ることです」ということを、宣伝でも対話でも広めようと呼びかけました。
暴走の一歩一歩が矛盾を広げている
山下氏は、安倍政権の暴走が国民や世界との矛盾を激化させていると指摘しました。世論調査で、9条改憲・集団的自衛権行使容認に対する批判が劇的に広がっていることを詳細に紹介。歴代の自民党幹事長や内閣法制局長官など保守層からも批判が広がり、有識者や首長、若手弁護士、青年・学生などの新しい国民的たたかいが広がっていることを示しました。
世界との関係では、安倍政権の歴史認識では米国とも矛盾があることを指摘。党が提唱している「北東アジア平和協力構想」こそ、9条を生かし、日本とアジアの平和を守る現実的な道だと力説しました。
憲法の前途は草の根の力関係で決まる
「いかにして国民の多数派を形成するか」について山下氏は、「憲法の前途は草の根の力関係で決まる」ことを運動の根本にすえることを強調。憲法改悪反対の声を国民の間に広げていく組織を網の目のようにつくり広げる先頭に日本共産党がたち、署名・宣伝に打って出ることを呼びかけました。
運動の推進方向として網の目の軸になるのが「九条の会」だと述べ10周年を迎える同会の教訓を生かし、今日の情勢にふさわしく発展させることを強調しました。その一翼を担う党として、「九条の会」の前進を党支部の「政策と計画」に位置づけることを提起しました。
また、文化人・知識人の声を結集すること、秘密保護法や安倍教育「改革」反対など多様な運動との連携を発展させることを呼びかけました。
自覚的民主団体の役割が決定的だとし、5月に発展・改組した「憲法を守り生かす共同センター」の意義を強調しました。
党の存在意義かけ立ち上がろう
山下氏は、留意すべきいくつかの課題に触れたあと、「憲法をめぐるたたかいは、歴史的な局面を迎えている。わが党の歴史的伝統と存在意義をかけて、このたたかいに全力で立ち上がろう」と力説。戦前・戦後の歴史を振り返るとともに、このたたかいを勝利させる決定的条件は党の政治的・組織的躍進だとのべ、安倍暴走とたたかう国民的共同を発展させることと一体に「躍進月間」を成功させようと訴えました。
討論のまとめ
討論のまとめで、山下氏は「すべての発言が憲法闘争に党の存在意義をかけて立ち向かおうというものだった」と語り、5月15日の首相会見後、世論が激変したことが、宗教者、保守的な評論家、元首長などの発言で生き生きと示されたとのべました。
また、「いま立ち上がらずいつ立ち上がるのか」など党員魂に火がつく状況が広がっているとして、党の果たす役割を強調しました。
第一に、宣伝・対話に打って出ることです。「憲法守れの声が聞こえない日をなくす」構えや、首相のごまかしを打ち破るキャッチフレーズ(安倍さんの頭の中は戦争でいっぱいなど)も生まれていることなどを指摘しました。
第二に、国民的共同を党として支える重要性です。山下氏は、各地の弁護士会との懇談・共同の背景にも、運動を支える党への信頼があることを指摘。党支部が一翼を担うことで万を超す「九条の会」をつくろうと呼びかけました。
最後に山下氏は、「憲法改悪阻止の砦(とりで)を『月間』でつくる」との発言を紹介し、「躍進月間」の成功が憲法闘争成功のカギだと強調しました。