2014年6月6日(金)
きょうの潮流
波打ち際で逆さまになったヘルメット。反攻の始まりを告げるベルレーヌの詩。明るく軽やかな進軍マーチ。第2次世界大戦で欧州戦線の転機となったノルマンディー上陸作戦を描いた映画「史上最大の作戦」です▼1944年6月6日。米英を主力とした連合軍は、ナチス・ドイツが占領するフランスへの上陸を決行します。周到な計画によってドイツ軍の裏をかいた場所が、イギリス海峡に臨む北西部のノルマンディー地方でした▼「Dデイ」と呼ばれた日。第1波の部隊に同行した写真家のロバート・キャパは、弾丸や砲弾飛び交う攻防の生々しさを伝えています。「指揮官は吹き飛ばされた部下の肉片をまともに浴びて、血まみれになってわめき散らしていた」▼パリ解放へとつながっていくノルマンディー上陸作戦は、大戦の終わりを加速させました。戦争の歴史に刻まれた日から、きょうで70年。各国の首脳らが激戦の舞台に集まり、記念式典が開かれます▼式典では、ロシアのプーチン大統領が3月のクリミア併合後、初めて欧米の首脳と一堂に会します。外電によると、フランスの外交官は「将来を見据え、ウクライナ危機を拡大化させないための場でもある」と述べています▼「彼は死んで、おれは動けず、君ははぐれる…。そんなものらしい、戦争はね」。先の映画の中で傷ついた兵士が仲間に語りかけます。おびただしい命が奪われ、血が流れた地で、改めて平和の尊さをかみしめる。そして、行動に移す機会になってほしい。