2014年6月5日(木)
陸自旭川駐屯地が「政教分離」違反
庁舎完成で“お清め”
呼んだのは「北の靖国」宮司
陸上自衛隊旭川駐屯地(北海道旭川市)が、新庁舎の完成披露行事で、北海道護国神社(同市)の宮司による「お清め・玉串奉奠(ほうてん)の儀式」を実施していたことが判明しました。憲法の政教分離原則に反する行為に地元でも批判の声があがっています。(山本眞直)
問題の行事は、今年3月18日に駐屯地内に完成した新庁舎(2棟、いずれも鉄筋5階建て)の2号棟で行われました。同庁舎は東日本大震災をめぐる「復興予算」を流用しての建設で、1棟が総額20億円です。
「お清め儀式」が発覚したのは、自衛隊OBで保守系の佐藤さだお旭川市議が自身のインターネットのブログに「旭川駐屯地新隊舎見学会開催」の記事と写真を掲載したことがきっかけでした。
この記事には、護国神社宮司による「お清め・玉串奉奠」の写真が掲載されていました。あわせて佐藤氏が旭川駐屯地に司令部を置く陸自第2師団の師団長、同駐屯地管理部隊の第2後方支援連隊長と撮った記念写真なども貼り付けられていました。
今回の行事について第2師団司令部は本紙の取材に「清めの儀式ではなく、庁舎の完成を祝う行事で、社会通念上、一般的に行われる範囲での安全祈願だ。玉ぐし料ではなく第2後方支援連隊長の私費による謝礼だ」と答えました。
しかし、佐藤氏のブログには「塩谷宮司のお清め・玉串奉奠」とあります。佐藤氏は5月、この記事を突然削除しました。
佐藤氏にただすと、「(理由は)いろいろある」としながらも、理由の一つとして「政教分離に反するなどの批判的な書き込みがあり、私の意図と違うが削除した」と答えました。
旭川駐屯地をめぐっては、第2師団、自衛隊旭川地方協力本部などの高級幹部が、新年の仕事始めとして、「北の靖国」とよばれる北海道護国神社への集団参拝を行ったことが本紙の報道(2月10日付)で明らかになっています。
地元の旭川平和委員会やキリスト教関係者から「部隊ぐるみの集団参拝は政教分離の原則に反する、憲法が禁じる政教一致であり許されない」と厳しい批判があったばかりです。
明らかに憲法違反
滝川平和遺族会代表・砂川政教分離訴訟原告代表の谷内栄さん(83)の話 安全祈願であれ、特定宗教人が自衛隊の庁舎という国の施設で宗教行事をすることは許されず、明らかな憲法違反だ。安倍政権が「戦争する国」への空気を強めているだけにあいまいにしてはならない。