2014年6月3日(火)
消費税増税から2カ月
各種調査で明らか 「駆け込み」の反動大
低所得者・年金生活者 負担に悲鳴
安倍晋三政権が4月1日に消費税率を8%に引き上げて2カ月が過ぎました。増税が国民の消費を冷え込ませ、商店街や中小企業に重い負担を与えています。
(川田博子)
甘利明経済財政担当相は5月23日の記者会見で、消費税増税後の景気判断にふれ、「景気回復の弱い動きは想定の範囲内であって、一時的なものであると考えている」とのべました。しかし、政府が発表した各種調査結果では、小売店の販売額や家計支出額が軒並み減少。「想定内」どころか、「駆け込み需要」の反動減によって景気が悪化しています。
経済産業省が発表した4月の商業販売額は前年同月比3・9%減。なかでも小売業は4・4%減となりました。
4月の新設住宅着工戸数は3・3%減、4月の新車販売台数は5・5%減と、反動減が顕著に表れました。
購買意欲低下
全国中小企業団体中央会の調査報告には各商店街から、「消費税率引き上げによる購買意欲の低下が見てとれる」(岡山県倉敷市)、「売り上げ全体が下がっている。消費者の財布のひもが固くなっていることを感じる」(大分市)と、買い物客の様子の変化を指摘する声が寄せられました。
中小企業にも厳しい反動減が起きています。新潟県の生コンクリート業者は「4月の出荷は前年同月比62・6%。当面、大型物件もなく厳しい状況が続く」、香川県のしょうゆ製造業者は「4月の出荷量は前年同月比81・5%。原料の価格が最高値で推移し、厳しい経営環境が続く」と声をあげています。
物価が上がっています。全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)は、消費税が増税された4月は前年同月比3・2%上昇。バブル崩壊後、最大の上げ幅になりました。
一方、国民の賃金は増えていません。4月の勤労者世帯の実収入は7・1%減。非正規雇用も57万人増えています。
懐具合が温まらない中での消費税増税によって、国民は支出を切り詰めています。
タウン紙グループ会社のリビングくらしHOW研究所によると、半数の女性が消費税増税前に、衣類や食品、日用品などを駆け込みで購入。増税後は3分の2の女性が「家計を引き締めている」と答えました。
総務省の4月分の家計調査によれば、1世帯の実質消費支出(2人以上世帯)は4・6%減でした。増税の影響で、コメや調味料、飲料類などの食料品、トイレットペーパーや洗剤、紙おむつなどの消費が大きく落ち込みました。
食費も減らす
「ゆりかごから墓場まで」生きることに税金を課す消費税は、国民、なかでも低所得者に大きな負担です。
ワタミ株式会社の子会社(ワタミタクショク)が実施した増税後の高齢者の生活・意識調査では、1食あたりの夕食費が増税前の928円から増税後は852円へ76円ダウン。増税をきっかけに「買い物での購入が慎重になった」と答えた人が約8割、「食費の見直しを考えた」人が約6割にのぼりました。
新日本婦人の会の「家計簿モニター」で、沖縄の72歳の年金生活者は「年金は減らされ、税金や国保、介護保険料などが高くなり厳しい状況」と嘆きます。東京の69歳の年金生活者も「余計な買い物はしない。外食はもちろんおやつも買わないことに徹したはずなのに消費税1万5696円(4月の負担)なんて、いままでなかったこと。よほど引き締めないと家計が破たんする」と悲鳴を上げます。国民の節約は限界です。日本の経済を破たんさせる消費税増税路線を許してはなりません。
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