2014年6月1日(日)
「たる爆弾」死者約2000人
半年で シリア人権監視団発表
【カイロ=小泉大介】英国に拠点を置く「シリア人権監視団」は5月30日、シリア政府軍による北部アレッポに対する「たる爆弾」攻撃により、今年に入ってから1963人の民間人が命を落としたと発表しました。シリアでは6月3日に大統領選挙の投票が予定されていますが、戦闘激化のもとでの実施に反体制派や国際社会の反発が強まるのは必至の状況です。
「たる爆弾」は、ドラム缶など円形型容器に火薬や石油などを詰めたもので、反体制派や人権団体などは無差別殺人を引き起こす残虐兵器だと厳しく非難しています。「人権監視団」は、約2000人の犠牲者には、子ども567人、女性283人が含まれているとしています。
アレッポや同じ北部のイドリブでは最近も政府軍による激しい空爆がつづいているもようで、隣国のトルコ当局によれば、5月29日までの3日間だけで約4500人の住民が国境を越えてトルコ側に逃れました。
3日の大統領選投票は、政府コントロール下の地域でのみ行われる見込みで、アサド大統領の再選が確実となっています。反体制派武装組織「自由シリア軍」のアルバシル司令官は29日、「選挙は犯罪者によって演出された茶番だ」と非難するとともに、政権打倒のため戦闘を継続する意志を表明しました。