2014年5月31日(土)
大学自治壊す学校教育法改悪案
若手研究者の将来奪う
廃案へ関係者らがアピール
大学の研究に携わる准教授、助教、講師などの若手大学関係者有志は30日、学校教育法改悪案の廃案を求めるアピールを出しました。
国会で審議中の学校教育法改悪案は、大学運営の権限を教授会から学長に集中するものです。さらに政府がすすめる大学「改革」で外国人研究者の雇用を優先する方向を打ち出しているため、若手研究者の雇用拡大につながらない問題が浮かび上がっています。
アピールは、学長独断の大学運営にする改悪案を批判。改悪を通してすすめられる大学「改革」は「若手研究者に将来安定したポジションで多様な研究を行う希望を奪うものであり、日本における次世代の研究・教育者養成に深刻な影響を与えかねません」と表明しています。
この日、東京都内で会見した呼びかけ人の一人、大河内泰樹一橋大学准教授は「12日間という短い期間で530人の賛同署名が集まりました。危機感のあらわれです」と発言。斉藤渉東京大学准教授は「学長の判断で、文科省や財界の要求が大学に直接入ってくる。現場は混乱する」とのべました。
呼びかけ人はほかに、植上一希福岡大学准教授、白井聡文化学園大学助教など31人。
解説
安倍「改革」強行する体制に
安倍政権の掲げる「大学改革」は、日本の若手研究者の将来に深刻な影響を与えます。
文部科学省が昨年11月に発表した「国立大学改革プラン」では、「シニア教員から若手・外国人へのポスト振替等をすすめる」としています。しかし同「プラン」は、大学の国際ランキングを上げるために外国人教員比率の引き上げを目指しており、外国人教員の雇用が優先されます。若手のポストが増える保証はありません。
また同「プラン」は大学教員の給与を年俸制にするとします。業績評価で毎年の給与額を決めるもので、いっそうの給与削減と激烈な成果主義競争に教員を追い込むものです。
これらは、就職難と劣悪な待遇におかれている多くの若手研究者の行き場をさらに奪い、研究環境を悪化させます。
学校教育法改悪案は、こうした「改革」を強行する体制をつくるものです。教授会の権限を取り上げて、文科省の方針に沿う人物を学長にすえる仕組みにし、学長が強権的に「改革」できる体制をつくります。法改悪で最も被害を受けるのは若手研究者だといっても過言ではありません。
(党学術文化委員会事務局次長 土井誠)